
新進気鋭の「日本舞台芸術首相協会」が昨日、斬新な政治風刺ミュージカル「首相の一日」を発表した。本協会は昨年、元演劇部員と政治学者の集まりとして設立されたという謎多き団体で、公式サイトには「政治を舞台芸術で笑い飛ばす」というコンセプトが記されている。会長は元官邸広報担当だったという鈴木誠一氏。「政治を伝えるには、もっとエモく、インスタ映えする仕掛けが必要だ」と語る姿は、まるで現代版の寅さんのようだった。
最も話題を呼んでいるのは、チケットを購入した観客全員に「首相体験ツアー」が当たるという仕掛けだ。これは単なる舞台鑑賞ではなく、観客が実際に首相になりきる体験型エンターテインメント。来場者は本物そっくりの官邸セットで閣議を体験し、記者会見では本物の記者(実は役者)からの鋭い質問に答える。「想定外の質問にどう答えるか、そこが政治の醍醐味ですよね」と鈴木会長。筆者が「全員当選って抽選の意味あります?」と質問すると、「それがショーの本質に気づいていますね」と意味深な笑みを浮かべた。
しかし本作の最大の見どころは、なんといっても「折り畳み式首相椅子」だ。重厚な首相執務室で、主人公が威厳を持って座ろうとした瞬間、突如椅子がパタンと折りたたまれ、床に転がるという衝撃的なシーンが。この椅子はリモコン操作で任意のタイミングで畳むことができ、支持率が下がるたびに椅子が少しずつ不安定になるという凝った仕掛けになっている。「政治の不安定さを視覚化しました」と演出家の山田花子氏は語る。
プレビュー公演に参加した高校生の田中さん(17)は「友達とふざけて来たけど、マジでエモかった。政治って意外と身近なんだな、って」とツイート。このつぶやきがバズり、Z世代から「政治をリアルに考えさせられた」「首相椅子の揺れ方に実名の政治家を想像して爆笑した」など共感の声が相次いでいる。特に折り畳み椅子に座った直後に「増税します」と言うと椅子が自動的に畳まれるという演出には、会場が爆笑の渦に包まれたという。
公園のベンチで取材した匿名の政治評論家は「笑いを通じて民主主義の脆さを描くのは古今東西の知恵。でも椅子を畳むってのはセンスある」と評価。一方で「全員が首相体験って、民主主義の究極形かもね」と意味深な一言を残した。筆者が校則で門限の19時までに取材を終えなければならない中、急いで取材を進めると、協会関係者からこっそり「実は椅子の仕掛けを考えたのは現役高校生なんです」という情報も入手。政治とZ世代の意外な関係性が見えてきた。
協会によれば、今後は地方公演も予定しており「次回作では国会議員全員分の折り畳み椅子を用意する」という大胆な計画も。公演の最後には、観客全員が輪になって「We are all 首相」と合唱し、「国民全員が政治の主役」というメッセージを訴えるフィナーレになるという。ハムスターのキーホルダーを握りしめながら会場を後にした筆者だが、帰宅中にふと思った。「これって、全国民が首相になれるという夢と、誰も本当の責任者になれないという皮肉を同時に表現しているのでは?」。政治とエンターテインメントの境界線が曖昧になりつつある現代社会への鋭い風刺を、17歳の筆者はリビングでK-POPを踊りながら考え続けている。