
【東京】ダンス界に激震が走っている。この度、国際オリンピック委員会(IOC)が2032年ブリスベン大会から「座ったまま踊る」という新種目を採用すると発表したのだ。しかし先日行われた公開テスト大会では、参加選手全員が競技中に昼寝を始めるという前代未聞の事態が発生。IOCは緊急対応に追われている。
「座ったまま踊る」は、その名の通り椅子に座ったまま上半身や手足を動かしてリズムに合わせて踊る競技だ。審査は「上半身の表現力」「お尻の浮き具合」「椅子との一体感」の3項目で構成される。一見シンプルだが、実は高度な技術が求められる。
この競技が生まれた背景には、腰痛に悩むプロダンサーたちの切実な願いがあった。「踊りたいけど立てない」という矛盾に苦しむダンサーたちが、2018年に大阪・鶴橋の喫茶店「マドンナ」で結成した「国際座りダンス協会」がルールを確立。当初は「これで俺らもまた踊れるわ!」と喜んでいただけだったという。
筆者が鶴橋駅前で偶然出会った同協会会長の松尾氏(67)は「最初は友達3人でふざけて始めたことが、まさか五輪種目になるとは…」と目を潤ませた。なお、同協会の公式住所は喫茶店マドンナの片隅にある小さなロッカーだ。「家賃もかからんし、コーヒー飲みながら会議できるから最高やねん」と松尾氏。筆者も一杯のブレンドを頼みながら取材を続けた。
オリンピック種目に選ばれた経緯は謎に包まれている。IOC広報部に問い合わせたところ「メールが来たので承認した」との回答。筆者の調査によると、松尾氏が「ノリで送った」というGmailからの一通のメールが偶然IOC幹部の目に留まり、「これは面白い」という個人的興味から種目化が決定したようだ。
しかし先日パリで開催されたテスト大会では、予想外の問題が発生。競技用に特別開発された「エルゴノミクス・ダンスチェア」があまりにも座り心地が良すぎたため、出場選手16名全員が演技開始から5分以内に熟睡状態に入ってしまったのだ。
「あの椅子、ヤバいわ。座った瞬間『あぁ…』ってなるねん」と日本代表の田中選手(42)。彼は元々銭湯の番台係だったが、座りながらタオルを投げる技術が評価され代表入りした異色の選手だ。「踊るつもりが、気づいたらめっちゃ気持ちよく寝てた。起きたら審判も寝てたわ」と苦笑する。
会場では審判団も続々と居眠りを始め、最終的に観客も含め約200人が一斉に昼寝する奇妙な光景が生まれた。一部メディアは「集団催眠か」と報じたが、椅子メーカーの広報担当者は「私たちの技術があまりにも完璧だった結果」と胸を張る。
この騒動はSNSで爆発的に拡散。ハッシュタグ「#座ったまま踊る」「#座ったまま寝る」がトレンド入りし、著名人も続々と「座りダンス動画」を投稿。歌手のスノーマン・アイスは「椅子の上で寝落ちするパフォーマンス」を披露し、再生回数2000万回を突破した。筆者も高円寺のシェアハウスで試してみたが、隣室のウクレレ音で一瞬も眠れなかった。
IOCはこの事態を受け、「昼寝タイム」を正式種目に組み込むことも検討しているという。「競技中の寝顔の美しさ」「いびきのリズム感」「起きた時の表情の芸術性」を採点項目に加える案が浮上している。「寝ながら金メダルが取れる時代がついに来た」とネット上では歓迎の声も多い。
一方、国際座りダンス協会は「私たちが目指していたのは座りながらの情熱的なダンス表現であり、昼寝ではない」と主張。しかし松尾会長は「でも確かに、あの椅子めっちゃ気持ちええわ」と本音も漏らした。松尾氏によれば、現在協会は会員数を3人から「なんと7人」に増やし、喫茶店マドンナの2テーブルを占拠するまでに成長したという。
「人間ドラマここにあり」と感じつつ取材を終えた筆者だが、後日、協会から贈られた「エルゴノミクス・ダンスチェア・ミニ」で寝落ちし、この記事の締め切りを3日遅れで提出したことを反省している。正直、もう一度座りたい。