
昨日、都内のコワーキングスペース「サイバーポイント銀座」で開催されたSNSポイ活選手権の優勝者が決定した。全国から集まった約500名のポイ活愛好家による熱戦の末、大阪府在住の「ポイント職人」こと森山和也さん(42)が、年間獲得ポイント総額約87万相当という驚異的な記録で栄冠を手にした。
ポイ活とは、クレジットカードやスマホ決済、スーパーのポイントカードなどを駆使して、日常生活で最大限のポイント還元を目指す節約術。近年はコロナ禍でキャッシュレス決済が広がったことに加え、インフレによる家計の圧迫から「賢く節約したい」という層を中心に人気が急上昇している。
「うちの冷蔵庫には32枚のポイントカードがマグネットで貼ってありますねん。嫁さんにはよく『もうやめてくれ』と言われますけど」と森山さんは照れ笑いを浮かべる。昨年の選手権では「コンビニ限定ポイ活部門」で2位入賞し、景品としてコンビニおにぎり1年分(365個)を獲得したという。「毎朝1個ずつ食べてましたけど、途中から家族全員がおにぎりを見るだけで胃もたれするようになって…最後は近所の人に配ってました」と苦笑する。
今回の優勝賞品は、民間宇宙旅行会社「スペースドリーム社」提供の「宇宙旅行チケット一枚」。ただし特筆すべきは「燃料費は自己負担」という驚きの条件だ。主催者によると、約2億5000万円相当のチケットが無償提供される一方、燃料費として約1億8000万円が別途必要になるという。
「宇宙に行けるのは嬉しいんですけど、燃料代どうしましょう…」と困惑する森山さんに対し、スペースドリーム社広報の田中光太郎氏は「燃料費を自己負担していただくのは、持続可能な宇宙開発のためなんです。でも安心してください、ポイ活を続ければ20年程度で貯まるはずです」と真顔で語った。
この条件に対し、Twitterでは「帰りの燃料がなくなって宇宙に置き去りにされるオチでは?」「実質、宇宙難民製造機では?」などの憶測が飛び交っている。森山さんは「往復の燃料代はないと帰れませんからね…まあ、クラウドファンディングでも立ち上げようかと」と苦笑いを浮かべた。
今大会で注目を集めたのは参加者たちの驚きのテクニックだ。準優勝した「ポイ活ハンター」こと佐藤美咲さん(35)は、あるSNSで「この投稿をリツイートするとポイントが貯まる」という仕組みを利用し、1日に最大800リツイートをこなす離れ業を披露。「スマホを5台駆使して、24時間体制でリツイートし続けました。家族との会話は3ヶ月ほどしていません」と明かす。
また、3位入賞した「ポイントの神様」こと鈴木健太郎さん(28)は「ポイント還元率が最大になる瞬間を『ポイ活ゴールデンタイム』と呼んでいます。例えば火曜の深夜2時17分から23分までの6分間は、某コンビニの決済アプリがシステムエラーを起こしやすく、時々ポイントが100倍になるんです」と秘訣を語った。彼は6か月間毎週火曜の深夜にコンビニに通い詰め、計11回の「ポイント大量獲得」に成功したという。
大会運営を全面的にサポートしたのが「ポイ活大学」。2021年に設立されたという同団体は、「ポイント経済学」「還元率最適化理論」などの独自学問を研究しているという。学長の中村ポイント博士(自称)は「我々の研究によれば、日本のGDPの約3%はポイント経済で占められています。これは琵琶湖を牛乳で満たした場合の糖質量に相当します」と意味不明な例えで熱弁した。
同大学が発表した「ポイ活2030ビジョン」によると、2030年までに「全ての生活必需品がポイントだけで賄える社会」を目指しているという。「将来的には給料の代わりにポイントを支給する『ポイント給』制度も検討されるでしょう。我々は通貨の概念そのものを覆す革命を起こしているのです」と中村博士。質問者から「それって単なるポイント還元付きの電子マネーでは?」と指摘されると「あなたは真実を知らないだけです」と謎の返答に終始した。
今回の選手権を主催したSNSポイ活協会の会長は「ポイ活は現代の修行です。どれだけ効率よくポイントを集められるかが試される。来年は月面ポイ活も検討中ですが、もちろんロケット代は自己負担です」と語った。なお、森山さんには宇宙旅行権利の代わりに現金10万円を選択する権利も与えられているが、「やっぱり宇宙に行きたいですね。1億8000万円、どこかでポイント還元されへんかな…」と夢見る姿が印象的だった。銭湯でアイデアが浮かぶかもしれないと、取材後、森山さんは銭湯「宇宙の湯」(東京都新宿区)に向かったという。