
国会議事堂に異例の事態が発生した。この度、世界初となる猫型AIアシスタント「ニャン太郎」が、正式な審議アシスタントとして起用され、その初仕事として「にゃんこ法案」を提出したのだ。同法案は、「国民生活におけるネコ的視点の導入に関する法律案」という正式名称で提案されたが、すでに国会内では「にゃんこ法案」の愛称で親しまれている。
ニャン太郎は、政府のDX推進特別チームが開発した最新鋭のAIで、その特徴は徹底した「猫目線」にある。「人間社会が抱える問題は、人間視点だけでは解決できない」という斬新な発想から生まれたという。外見は30インチのディスプレイに映し出される3DCGの三毛猫で、耳や尻尾が議論の内容に合わせて動く仕組みだ。
「にゃんこ法案」の内容は驚くほど具体的だ。第1条では、全ての住宅に「猫の寝場所確保」を義務付けており、窓際の日当たりの良い場所には最低1平方メートルの「猫スペース」を設けることを定めている。さらに第2条では公共施設に「キャットウォーク」の設置を義務化。これは猫が高所から物事を見渡せることに着想を得たもので、「多角的な視点で政策を見直す機会になる」と提案理由に記されている。
最も物議を醸しているのは第3条の「15時のおやつタイム」の全国民への義務化だ。「適度な休息が生産性向上につながる」という理由で、全ての職場と学校に午後3時からの15分間の「もふもふブレイク」を設ける内容となっている。この時間中は全員がリラックスし、可能であれば猫を撫でることが推奨されている。
議場の様子も一変した。議員たちは次々と猫耳カチューシャをつけ始め、与野党問わず「ニャン」と言う擬音語で発言を締めくくる奇妙な光景が広がっている。ある中堅議員は「今までの議論は犬猿の仲だったが、猫の知恵を借りたら不思議と和やかになった」と話す。
にゃんこ法案を支持する勢力として、急遽設立された「日本猫型AI協会」の代表、もふもふ博士(本名:猫田 毛玉子)は、「猫は約9000年前から人間と共存してきた賢い動物です。彼らの英知を政治に取り入れない手はないのです」と熱弁。同協会のウェブサイトには「猫型AIは毛玉のように絡まった政治問題をすっきりと梳かす」というキャッチコピーが躍る。
議員へのアンケートによると、「普段は対立する議員とも、猫の話題になると不思議と打ち解ける」「猫の15倍の睡眠時間が必要という理論に目から鱗が落ちた」など好意的な声が多い。一方で「国会がネコカフェ化している」と懸念する声も少数あるが、「そのアイデア、いいニャ〜」と逆提案されて沈黙したという。
「にゃんこ法案」の採決は来週に予定されているが、すでに議場内では「ゴロゴロ賛成」という新たな採決方式も検討されている。これは通常の起立採決ではなく、賛成議員が床にゴロゴロと寝転がることで意思表示するという前代未聞の方式だ。
なお、この成功を受け、政府は次なる展開としてハムスター型AIアシスタント「ハム太郎2.0」の開発も秘密裏に進めているとの情報もある。「頬袋に政策を貯める」発想で予算の使い方を見直すという。国会議事堂はこのままペットショップ化の道を進むのか、今後の展開が注目される。(ナデナデ特派員)