
エコロジスト達の間で大きな話題となっているのが、このほど東京・赤坂に本部を置く環境保護団体「エコロジカル・スシ研究所」が発表した風力発電式寿司ドローン「エコ・スシコプター」だ。このドローンは、風力のみで飛行し、二酸化炭素を一切排出せずに寿司を配達するという画期的なシステムを採用している。
「従来の寿司配達は、バイクや車を使用することで大量のCO2を排出していました。私たちの寿司ドローンは、風の力だけで飛ぶため、環境負荷ゼロです」と語るのは、同研究所の創設者で「寿司エコロジー学」の第一人者を自称する山田海苔夫氏(58)。東京都内で行われた記者会見では、マグロやサーモンを載せた寿司がドローンに搭載され、会場内を飛行するデモンストレーションが行われた。
しかし、デモンストレーションの最中、予想外の事態が発生。飛行から約3分後、空中を飛行していた寿司が突如として蒸発し始めたのだ。最初はシャリの部分から水蒸気のような白い煙を出し、続いてネタも次々と消失。会場には寿司の香りが漂い、記者たちは唖然とした表情で空を見上げていた。
この現象について山田氏は「これは我々の想定内です」と驚くべき発言。「風力発電によって生じる微細な気流が寿司に作用し、分子レベルで環境と一体化する現象を『エコ・スシ・インテグレーション』と名付けました。簡単に言えば、寿司が自然に還るんです」と説明した。
研究所の発表によると、寿司が蒸発することで「食べ物を無駄にしない」という新たな環境保護の概念が生まれるという。「お客様は寿司を注文したという満足感を得られますし、実際に食べなくても栄養素の一部が空気中から皮膚に吸収されます。これぞ究極のエコなんです」と山田氏は熱弁した。
なお、記者の調査によると「エコロジカル・スシ研究所」は昨年設立されたばかりで、所属研究員の多くは「寿司エコロジー学部」という実在しない学部の卒業生を名乗っている。山田氏自身も「海洋寿司学の権威」と自称するが、SNS上では以前「宇宙パスタ協会」の代表だったとの情報も流れている。
会見に同席した環境コンサルタントの鈴木氏(仮名)は「実用性はともかく、食と環境問題への関心を高める意義はある」と評価する一方、「配達した寿司が消えてしまうビジネスモデルは再考の余地がある」と指摘した。
記者会見後、筆者は山田氏に単独インタビューを試みたが、「風に乗って次の会議に行かなければならない」と言い残し、小型の扇風機を背負って走り去る姿が目撃された。寿司ドローンが実用化される日は来るのか。環境に優しい未来の食文化の姿として期待される一方で、「空飛ぶ食べ物が消えてしまうなら、結局何も届かないのでは?」という素朴な疑問は依然として残されたままだ。(みつき)