宇宙連合が主催する史上初の「宇宙恋愛オリンピック」が、木星第三衛星エウロパで開幕した。地球からはオーディションで選ばれた30歳の会社員・山田太郎さんが代表として出場。太陽系各惑星から集まった選手たちと共に、「愛の告白」や「デートプラン」など計12種目で競い合う。
大会3日目、驚きの事実が発覚した。山田さんが大会前から交際していた恋人の佐藤花子さん（28）が実は火星人だったのだ。佐藤さんは約2年前から特殊メイクと高度な言語トレーニングで地球人に化けて生活していたという。宇宙恋愛オリンピック実行委員会は緊急会議を開き、「種族間の愛は最も尊いもの」として出場資格を認める異例の判断を下した。
「彼女が火星人だって知った時はさすがに驚きましたよ」と山田さん。「でも考えてみれば、いつもヒールを履かないと身長が合わなかったり、夏でも長袖を着ていたり…不思議なところはありましたね」と振り返る。佐藤さんこと火星人クラバット・ゾルグ（地球年齢換算で32歳）は「地球の恋愛文化に感動して移住を決意したの。太郎の純粋な愛情に惹かれたわ」と赤く染まった頬を3本の指で隠しながら語った。
大会5日目、山田さんは「宇宙カップルスロー」という種目で金メダルを獲得した。この競技はパートナーをいかに遠くまで投げられるかを競うもので、火星の重力環境で育ったクラバット選手の軽い体重と、山田選手の意外な腕力が合わさり、なんと56.8光秒（約1700万キロ）という驚異的な記録を叩き出した。他の選手たちからは「イカサマだ」との声も上がったが、審判団は「愛の力は重力をも超える」として正式記録を認定した。
一方、大会を主催する宇宙恋愛協会のアルファ・ケンタウリ博士は記者会見で「地球人の恋愛力は宇宙基準で見ても異次元」と評価。「彼らは『わたしにできることなら何でもする』『君のためなら死ねる』など、実現不可能な誇大表現を愛の証として用いる唯一の知的生命体」と解説した。宇宙恋愛協会の調査によれば、地球人は「告白」という独自の恋愛儀式を持つ唯一の種族であり、その成功率はわずか16.7%という過酷さにもかかわらず、何度も挑戦し続ける「異常な精神力」を持つという。
地球に戻った山田さんとクラバット選手は、「種族を超えた結婚」を視野に入れているという。「マインドはギャルなんで、正直スペースウェディングとかめっちゃ憧れます！」と山田さん。今大会をきっかけに、地球では異星人との恋愛をサポートするアプリ「エイリアン・マッチ」の登録者数が前月比3000%増を記録。宇宙恋愛オリンピックは4年後、土星の環で開催予定だが、地球代表選考会には早くも50万人が応募している。種族を超えた愛の可能性が広がる中、私たち地球人の恋愛観も、ますます宇宙規模に拡大していくことだろう。
