羊蹄山の通称「蝦夷富士」の幽霊が国政選挙への出馬を表明した。地元の選挙管理委員会に届け出たのは、「幽玄亭 山彦(ゆうげんてい やまびこ)」氏、推定年齢120歳。選挙ポスターには薄く霧がかかったような姿で登場し、肉眼では見えないという特徴を持つという。
「私は長年、羊蹄山で観光客の皆様のサポートをしてきました。ハイキングコースを外れた方を正しい道に導いたり、突然の雨からお守りしたり…。そのノウハウを政治の世界でも活かしたいのです」と山彦氏は、地元メディアのインタビューで語った。声だけが録音され、姿は映っていない。
山彦氏の目玉政策は「スマホで観光案内しながら政治も改革します」という二刀流戦略だ。「私は幽霊なので、皆さんのスマホに直接入り込み、観光地の解説をリアルタイムで行えます。例えば『この景色、左に45度傾けるともっと映えますよ』とか、『この祠には江戸時代にこんな逸話が…』といった具合にね」と語る。
実は山彦氏、生前は地元ニセコで民宿を営んでいた小林太郎氏(当時58歳)だったという。1902年、羊蹄山の噴火を調査中に遭難し、その後幽霊となった。「あの時代はスマホもGPSもなかったからね。今の観光客が迷子にならないよう見守ってきたんだよ」とほろりと語る。
山彦氏が政治の世界に足を踏み入れる理由について、「日本の観光資源は世界一なのに、PRが下手すぎる。幽霊目線で言わせてもらえば、もったいない!」と力説。「幽霊は国境を超えて活動できるから、インバウンド対策にも自信あり」と豪語する。
地元観光協会の高橋会長(67)は「山彦さんのおかげで、『羊蹄山で幽霊に道を教えてもらった』という口コミが増え、観光客が20%アップした。見えないところでの貢献は計り知れない」と絶賛する。一方で、選挙管理委員会は「幽霊の立候補資格について法的根拠がない」と困惑している。
SNS上では「#幽霊議員に投票します」というハッシュタグが拡散。「生きてる議員より仕事しそう」「透明性バツグンじゃん」など好意的な声が多い。一部からは「幽霊に住民票はあるのか」「国会に出席できるの?」といった疑問の声も上がっている。
政治評論家の田中氏は「幽霊議員なら『裏で何かやってる』という批判もないし、献金問題も発生しない。むしろ理想的な政治家像かもしれない」と分析する。
山彦氏の立候補を皮切りに、青森県の恐山や鳥取県の境港など、全国の幽霊スポットからも立候補の動きがあるという。「幽霊連合」を結成する可能性もあり、次期選挙で一大勢力となる可能性も出てきた。
銭湯評論家としても知られる筆者は、山彦氏に「幽霊は温泉に入れますか?」と質問。「もちろん。特に硫黄泉は体が透けて見えなくなるから最高ですよ」との回答に、思わず「ええっ、それって普通の人と変わらんやん!」とツッコんでしまった。山彦氏が当選すれば、国会議事堂に初の「幽霊議員専用浴室」が設置される日も近いかもしれない。
















