
昭和の日に合わせて発売された「昭和風インスタントタイムマシン」が、思わぬ形で話題を呼んでいる。製造元の大手家電メーカー「昭和テック」が開発したこの商品は、プロジェクションマッピング技術を駆使して、昭和時代の風景や音、匂いまでも完全再現するという画期的な製品だ。ところが、発売早々、予想外のトラブルが続出している。
「突然、昭和の銭湯から平成のスーパー銭湯にワープしてしまいました」「駄菓子屋でダグラス・マッカーサーと目が合いました」など、SNS上では奇妙な体験報告が相次いでいる。原因は、なんとWi-Fi接続が必須という仕様にあるようだ。昭和テックの技術開発責任者である田中昭和博士は、「Wi-Fi接続が切れると、タイムマシンが現代のインターネットインフラを見失い、時空の狭間でバグを起こすんです」と説明する。
開発の発端は、社長の「うちの孫に駄菓子屋の温もりを教えたい」という一言だったという。しかし皮肉にも、インターネット以前の昭和を再現するには、最新のWi-Fi環境が欠かせないという矛盾を抱えることになった。「まるで昭和のラジオの電波障害みたいなもんや」と、田中博士は苦笑する。
それでも、ユーザーからは意外な評価も。「Wi-Fiが切れた瞬間に昭和の集金人が平成のNHK職員に変わったのは笑った」「電波が悪くなるたびに、おふくろの味が出前一丁に変化するのがシュール」など、予想外の楽しみ方が報告されている。特に、昭和の街並みを歩いていると突如として平成のバブル崩壊後の風景に変わる「エポック・ジャンプ」は、歴史の生き証人として注目を集めている。
昭和テックは今後、「昭和風無線ラジオ」の開発も予定しているという。ただし「電波が届かない地域では令和のポッドキャストが流れる可能性があります」と但し書きを入れることを検討中だ。結局のところ、このタイムマシンは、現代と昭和の狭間で迷子になりながらも、どこか懐かしい気持ちにさせてくれる不思議なガジェットとして、その存在感を示し続けている。