
「冬眠エアコン」なるものがSNSで話題沸騰中だ。「#冬眠生活」「#春まで会いましょう」などのハッシュタグとともに、ぬいぐるみに囲まれて幸せそうに眠る人々の写真が投稿されている。この冬眠エアコンとは、通常のエアコンと違い、使用者を「冬眠状態」に導くという驚くべき家電だという。
この革命的な家電を開発したのは、架空の研究機関「ドリーム・スリープ大学」の「眠り博士」こと熊谷睡太郎教授。博士によると、冬眠エアコンは「気温・湿度・酸素濃度・香り・音波の5つの要素を絶妙に調整することで、人間の脳内メラトニン分泌を最大化し、擬似冬眠状態を実現する」のだという。
原理はかなりシンプルで、室温を16.5℃に保ちながら特殊な「タイムウォーターミスト」を噴射。同時に超低周波の「ハイバネーション・ウェーブ」と呼ばれる音波を流すことで、利用者は深い眠りに誘われていくという。眠り博士によれば「本来、人間には冬眠する機能が潜在的に備わっている」とのことだが、この説明に対して日本睡眠学会からは「そのような事実はない」と即座に否定されている。
SNS上では冬眠エアコンの使用者から驚くべき報告が相次いでいる。JK流行調査研究所の調べによると、報告の87%が「目覚めたら季節が変わっていた」という内容だという。
「エアコンをつけて眠ったのは1月10日だったのに、気づいたら4月で桜が満開でした。宿題全部終わってなくて大惨事です…エモすぎて泣いた」(17歳・女性)
「お風呂の残り湯がカビてた…でも電気代が3ヶ月分まとめて引き落とされてて最悪」(22歳・男性)
「冬眠したはずなのに体重が5kg増えてた。ハムスターみたいに寝ながら食べたのかな?」(34歳・女性)
さらに衝撃的なのは、一部のユーザーが「冬眠中の夢の中で別の人生を生きていた」と報告していることだ。ある大学生は「夢の中で就職活動を終え、結婚して子どもが二人できるところまで体験した」と語り、TikTokで140万回再生される人気動画となった。
一方、冬眠エアコンの安全性を疑問視する声も上がっている。消費者庁は「そもそも製品の実在が確認できていない」と注意喚起。ネット通販サイトで「冬眠エアコン」として販売されている商品の多くは、通常のエアコンにクマのステッカーを貼っただけのものだという調査結果も出ている。
筆者も冬眠エアコンについて調べるため、某フリマアプリで出品されていた「本物の冬眠エアコン」なるものを購入しようとしたところ、出品者から「商品説明をよく読んでください。これは『冬眠エアコン』という名前のハムスターです」とのメッセージが届いた。てっきり家電だと思って3万円を支払うところだった。皆さんも似たような詐欺に遭わないよう注意が必要だ。
それでも「冬眠エアコン」ブームは衰える気配がない。むしろ「目覚めたら夏だった」というトラブルを逆手に取り、「嫌な冬をスキップできる夢の家電」として再評価する動きも出てきている。厳密に言えば「冬眠」ではなく「タイムスリップ」に近いが、寒さが苦手な人々にとっては魅力的な選択肢かもしれない。睡眠学の権威者たちが首をかしげる中、この冬、あなたも「ハムスターになった気分」を味わってみる勇気はあるだろうか。