
「宇宙にも食の革命が」と評判の宇宙食フルコースディナーで最も人気を博している「火星の土で育てたレタス」が、実は地球産であることが本紙の取材で明らかになった。「地球の味を超えた」と話題のこのレタス、その赤い土の正体は意外なところにあった。
「あれは赤錆粉やで」と証言するのは、東大阪市の小さな鉄工所で働く田中さん(仮名・64歳)。同鉄工所では、錆びた鉄くずを細かく粉砕し、一般の培養土に混ぜ込む独自の「火星土壌製造技術」を開発していたという。「うちの祖父が経営してた…いや、バイトしてた鉄工所にそっくりや」と筆者も懐かしさを禁じ得ない。
この「火星の土」は、宇宙食フルコース開発元を名乗る「国際宇宙食愛好会」に納品されている。本紙が調査したところ、同愛好会の本部は商店街の空き店舗を間借りした小さな事務所で、会員のほとんどが地元商店街のおばちゃんたちであることが判明。「宇宙食も結局は家庭の味やねん」と語る会長の森山さん(68歳)は、毎週水曜日に開かれる「火星レシピ研究会」で新メニューを考案しているという。
「火星レタス」は実際には市内の家庭菜園で栽培されており、収穫後に特殊な「宇宙栄養液」に浸すことで「宇宙の味」を実現しているとのこと。この栄養液の正体は、醤油とみりんをベースにした秘伝のタレだという情報も入手した。「これぞ宇宙の味や!」と豪語する森山さんだが、実家の味噌汁の味に似ているという指摘も。
SNSでは「火星レタス」の評判が急上昇中だ。「地球の食材とは思えない味わい深さ」「宇宙食なのに懐かしい味がする」という書き込みが相次いでいる。中には「高円寺のシェアハウスのキッチンで作ったサラダの味がする」というレビューも。筆者が住むシェアハウスのキッチンでは、ルームメイトが作る謎のサラダドレッシングに似ているかもしれない…と思わず納得してしまった。
この騒動について専門家の意見を求めるべく、自称「宇宙食研究家」を名乗る鈴木氏(43歳)に取材を試みたが、「今、銭湯にいるんで」と電話を切られてしまった。その後、別の専門家からは「火星の土で育てる技術は存在するが、一般に流通するほど確立されていない」との見解が示された。
宇宙食フルコースディナーの予約は現在も殺到しており、次回は「木星の嵐で発酵させたチーズケーキ」が登場予定だという。真実はどこにあるのか、宇宙と地球の境界線はどこにあるのか、そんな人間ドラマが東大阪の片隅で静かに繰り広げられている。筆者はこの取材の帰り、なぜか無性に駅前のクレープが食べたくなった。火星レタスよりも地球のスイーツの方が、今日は魅力的に思えたのだった。