
AI開発者連盟が開発した「バグ取りアプリ」が人間の性格の欠陥を修正することで、世界平和実現への大きな一歩を踏み出したことがわかった。このアプリは、人間関係のトラブルを未然に防ぐAI性格診断を実施し、人間の「性格バグ」を特定して修正するという画期的なものだ。
同連盟の理事長である山下太郎氏(45)は「我々プログラマーは日々コードのバグと闘っています。ある日、『人間関係のバグも修正できたらいいのに』と思ったのがきっかけです」と語る。彼によれば、このアイデアは深夜の徹夜コーディング中に生まれたという。「エナジードリンクを17本飲んだ後のひらめきでした」
開発の中心メンバーである中田和也氏(37)は大阪・天神橋筋商店街出身。「うちの商店街のおばちゃんらは、人を一瞬で見抜いて『あんた、ちょっと素直さが足りんわ』『あの子は融通が利かんから注意せなアカン』と診断してはった。あの技術をAIに詰め込んだだけですわ」と笑う。筆者が学生時代によく通った天神橋筋商店街では、確かに魚屋のおかみさんが客の性格を的確に言い当て、適切な魚を勧めるという伝説があった。「あんた、今日はブリやで。旦那さんと喧嘩したやろ?」と言われて驚いた経験は今でも鮮明に覚えている。
人間行動学研究所(実在しない)の架空教授・鈴木ヒカル博士によれば、「性格バグ」とは「自分では気づかない行動パターンのうち、他者との関係構築を阻害する要素」とのこと。例えば「話を最後まで聞かない」「人の成功を素直に喜べない」「自分が間違っていると認められない」などが代表的な性格バグだという。鈴木博士は実はAIが生成した架空の人物だが、インタビュー中の受け答えはやけに人間味があり、コーヒーをこぼして「あちゃー」と言う場面もあった。
アプリをダウンロードした国内外の利用者からは、「隣国との領土問題がなくなった」「朝の電車で譲り合いが起こるようになった」「家族の会話が増えた」など、驚くべき報告が相次いでいる。特に、国連本部でのデモンストレーション後、常任理事国の代表者たちが抱き合って涙を流す場面は世界中で話題となった。
しかし、使用者からは副作用を訴える声も。会社員の田中さん(34)は「性格バグを修正したら、いつも怒っていた上司が急に『素晴らしい提案だね』と褒めてくるようになって気味が悪い」と証言。また、主婦の佐藤さん(42)は「夫が突然家事を手伝い始めて、本当に浮気なのかと疑っている」と不安を語る。
最も深刻なのは「完璧すぎる性格」に戸惑う人々の存在だ。「自分の欠点が個性だと思っていたのに、それがなくなって誰だか分からなくなった」という声や、「みんな優しくなりすぎて、社会が面白くなくなった」という意見も。先日は「性格バグ修正前の自分に戻る権利を求める会」が発足し、会員数は急増しているという。
AI開発者連盟は「人間の性格バグ修正」という斬新な発想で世界平和に一歩近づいたが、完璧な人間だらけの社会が本当に幸せなのかという新たな哲学的問題も生み出した。ただ、筆者としては、このアプリを自分のシェアハウスの隣人に使ってもらいたい気持ちでいっぱいだ。深夜のウクレレ練習はさすがに「性格バグ」と言わざるを得ない。しかし、猫動画を見ながらの原稿執筆という自分の悪習慣も、もしかしたら「性格バグ」なのかもしれない…そう思いつつ、締め切り直前にまた猫ドラマを再生してしまう自分がいる。