
選挙演説の壇上で「愛してるよ!」と絶叫し、聴衆を驚かせる新党「ラブレター党」が結成され、支持率急上昇の兆しを見せている。従来の政治とは一線を画す「愛情重視」の政策が注目を集めているという。代表のハートフル中村氏(47)は「政治に足りないのは冷たい数字じゃなく、あったかい愛やねん」と熱弁。大阪弁で語られる愛の政治論に、会場からは「なんでやねん」と突っ込みの声も飛び交うが、不思議と拍手も起こっていた。
ラブレター党の政策は従来の政党とは一線を画す。目玉となるのは「抱擁増税」と「感謝減税」だ。抱擁増税では、毎日誰かを抱きしめると消費税が2%上乗せされる仕組み。「え?増税?」と思いきや、中村氏は「抱擁で増える幸福度を税金に換算したらこれくらい必要なんです。でも心は豊かになりますよ」と説明する。一方、感謝減税は「ありがとう」を1日100回言うと所得税が5%減額される画期的な制度だ。「銭湯でも『ありがとう湯』って言いながら入るとええんやで」とアドバイスする中村氏に、私は思わず「そんなん言うてまで入らんでも…」と心の中でツッコんでしまった。
この新党を後押ししているのが、「愛情政治学研究所」なる機関だ。所長のラブリエ博士(実在せず)は「愛の言葉を聞くと脳内のオキシトシンが活性化し、投票意欲が23.7%上昇する」と発表。この数値の根拠を問うと「愛には数字なんて必要ないでしょ?」と返され、記者会見は混乱した。私が取材した高円寺の古着屋の店主(68)は「うちの店もセール時に『愛してまっせ』って言うたら客増えるかな」と興味津々だった。
SNS上では「愛を語るだけで政治が変わるなら、お笑い芸人が総理大臣になってもいいのでは?」「選挙カーから『愛してる〜!』って聞こえてきたら、正直引く」など皮肉混じりのコメントも散見される。しかし党の支持率は微増傾向にあるという。私が銭湯「栄湯」で隣に座っていたおじさんに意見を聞くと「政治家の話なんて信じられへんけど、せめて『愛してる』くらい言うてくれたら風呂上がりのビールみたいに気分ええわ」と熱めのお湯につかりながら語ってくれた。
選挙演説で「愛してる」連発のラブレター党。その行方はまだ不透明だが、冷え切った政治の世界に一石を投じたことは間違いない。「愛の政治」が単なる一過性のブームで終わるのか、それとも本当に社会を変える力になるのか。私としては「結局、政治もおばちゃんの井戸端会議と同じで、言葉より中身やろ」と思いつつも、ちょっと応援したくなる不思議な魅力を感じている。明日も取材のため、2つのボイスレコーダーと手帳を持って、愛の政治の行方を追いかけたい。