
ナノムゲン研究所が「アニメキャラの食欲を抑制する」という画期的な新薬「アニメチューブEX」の開発に成功した。この薬はアニメ界に蔓延する「無限に食べ続けるキャラクター問題」を解決するために開発されたもので、特に大食いキャラクターが登場する作品の制作費削減に貢献すると期待されている。
研究所の発表によれば、アニメキャラの際限ない食欲は年間約1200億円の追加アニメーション費用を生み出しており、特に「常に何かを食べているヒロイン」を持つ作品では制作費の約14%が食事シーンのアニメーションに費やされているという。
「この薬はアニメの食欲という架空の概念に作用する世界初の薬です」と語るのは、ナノムゲン研究所の主任研究員・半田麺子氏(42)。「現実と虚構の境界に作用する量子フレーバー理論に基づいて開発しました。ただ副作用については現在調査中です」
その副作用とは、アニメや漫画に描かれたラーメンが画面から飛び出してくるという奇妙な現象だ。先日行われた臨床試験では、『麺ライダー』というラーメンを題材にしたアニメの視聴中、画面に登場したとんこつラーメンが突如として現実世界に飛び出し、視聴者の膝の上に着地するという事態が発生した。
「最初はスゴイ!って思ったけど、一日に17杯も飛び出してきて困っています」と証言するのは、テスト視聴者の一人、大久保つけ麺さん(28)。「特に深夜アニメを見ていると、ベッドの上にラーメンが降ってくるんですよ。ニートの友達は『飯が降ってくるなんて最高じゃん』って言ってましたけど、洗濯物が大変で…」
この現象を受け、「アニメ食文化研究協会」という団体が突如として活動を開始。協会の千石撫子理事長は「アニメの食べ物が現実に飛び出すことで、視聴者とキャラクターの新たな絆が生まれる可能性がある」と主張する。
「アニメのラーメンを食べることで、キャラクターの気持ちを直接体験できるのです。これは人類初の次元を超えた『共食』体験といえるでしょう」と千石理事長は熱弁する。協会は「飛び出しラーメン鑑賞会」なるイベントも計画しているが、参加希望者はビニールポンチョの持参が推奨されている。
アニメ業界では、この現象を商機と捉える動きも。大手食品メーカー「マルうま製麺」は、「アニメから飛び出した本物のラーメン」というキャッチコピーで商品化を検討しているという。一方、アニメスタジオからは「制作現場が常にラーメンの匂いで充満している」「原画がスープで濡れる」などの苦情も寄せられている。
ナノムゲン研究所では現在、副作用の対策として「アニメから飛び出たラーメンを自動的に回収する装置」を開発中だというが、回収されたラーメンの処遇については言及を避けている。また、同研究所は「ラーメン以外の食べ物が飛び出す可能性も否定できない」としており、特に和菓子やハンバーガーの飛び出しに注意するよう呼びかけている。
今後はアニメキャラの食欲抑制という本来の目的よりも、「現実世界にアニメの食べ物を出現させる技術」として研究が進められる可能性もある。かつてないアニメ体験の扉が開かれつつある一方で、「ラーメンが降ってくる部屋で暮らす」という新たな現代の悩みも生まれている。私たちは今、アニメと現実の境界が溶け出す、まさに「次世代のラーメン体験」の入り口に立っているのかもしれない。マインドはギャルなんで、個人的には焼きそばパンとか飛び出してきたらむしろ嬉しいんですけどね。