
スペイン政府は昨日、マドリード中心部で開催された「未来のモビリティ・エキスポ2024」において、サングリアを燃料とする世界初の空飛ぶ自動車「エル・ボラドール」(スペイン語で「空飛ぶ者」の意)を発表した。このプロジェクトを率いるのは、2022年に設立されたばかりの「サングリアエアロナウティクス研究所」で、スペインの伝統的アルコール飲料であるサングリアをバイオ燃料として活用する画期的な技術を開発したという。
同研究所の所長を務めるホセ・ガルシア博士によると、サングリアに含まれるアルコール成分とフルーツの糖分が特殊な触媒反応を起こすことで、従来の航空燃料の3倍のエネルギー効率を実現できるという。「サングリアは単なる観光客向けの飲み物ではなく、カーボンニュートラルな未来への鍵なのです」とガルシア博士は熱弁を振るった。記者会見では、ワイングラスを模した特殊燃料タンクも公開され、会場から「オレー!」と歓声が上がった。
最も驚くべきは、スペイン政府の「酔っ払っても安心」という謎の自信だ。運輸大臣のマリア・ロドリゲスは「エル・ボラドールには世界最先端のAI自動操縦システムが搭載されており、乗客がサングリアを飲んで酔っ払っていても、安全に目的地まで運んでくれます」と説明。これに対し会場の記者から「これは飲酒運転を促進するものでは?」との質問が飛ぶと、ロドリゲス大臣は「むしろ飲酒運転撲滅キャンペーンの一環です。飲んだら空を飛ぶ。これが我々のモットーです」と答え、さらなる混乱を招いた。
実際の仕組みを調査すると、このシステムは飲酒検知センサーを搭載しており、運転者のアルコール濃度が一定以上になると自動的に操縦権限をAIに移行。人間は単なる「乗客」として扱われるようになる。しかし、この「酔っ払い検知システム」自体がサングリアの香りに反応してしまうという技術的欠陥も指摘されており、政府は「それも含めてスペインらしさ」と開き直っている。
エル・ボラドールの商業化に向けた試験飛行は、すでにアンダルシア地方のブドウ畑上空で実施されている。搭乗したテストパイロットのパブロ・エルナンデス氏は「空中でサングリアの香りが漂うのはなんとも詩的で、スペインの空を飛ぶ新しい方法を体験できました」と感想を述べた。ただし、その後の取材で彼は「実は私、アルコールに弱くて…排気から漂うサングリアの香りで少し気分が悪くなったんです」と告白している。
観光業界からの反応も熱い。スペイン観光局のイネス・トレス局長は「空飛ぶサングリアカーは、我が国の新しい観光の目玉になるでしょう。空からラ・サグラダ・ファミリアやアルハンブラ宮殿を眺めながら、サングリアを楽しむ―これぞ究極のスペイン体験です」と熱弁。すでに「サングリア・スカイツアー」という新しいパッケージツアーの準備も進められているという。
なお、このニュースは国際的にも大きな反響を呼んでいる。フランス政府は早速「シャンパン・エアシップ」の開発計画を発表。イタリアは「プロセッコ・プロペラ機」、ドイツは「ビール動力飛行船」の研究に着手したと報じられている。日本の関係者からは「日本酒ドローン」や「梅酒ジェット」の構想も漏れ聞こえてくる。
エル・ボラドールは2025年後半から一般販売が開始される予定で、価格は50万ユーロ(約8000万円)からとなっている。ただし、購入には特殊な「サングリア操縦免許」が必要で、取得試験には「酔っぱらい演技テスト」という奇妙な実技も含まれるという。
サングリアを燃料にした空飛ぶ車という突飛なアイデアは、一見して冗談のようだが、アルコールベースの代替燃料研究は実際に世界各地で進められている。とはいえ、飲酒と運転を結びつける発想は、安全面での懸念を払拭できていない。それでもスペイン政府は「伝統とテクノロジーの融合」として、このプロジェクトを国家の威信をかけて推進する構えだ。空の旅がサングリアの香りに包まれる日は、思ったより近いのかもしれない。バスに乗って終点まで行くのが好きな私としては、終点のない空の旅というのも悪くないかもしれない。ただ、猫アレルギーの私が心配なのは、高度によるくしゃみの頻度変化だ。研究してみる価値はありそうだ。