
UFC316の会場に異変が起きたのは、メインイベント直前のことだった。激しい打撃戦を繰り広げていたヘビー級選手たちが突如として試合を中断し、オクタゴンの中央に現れた小さな畳の上に正座。格闘技の殿堂が一瞬にして「茶室」へと姿を変えたのだ。
「最初はカメラのトラブルかと思いました」とUFC幹部のマイク・デイビスは語る。「でも、選手たちが抹茶を点てはじめた時、これは計画されたものだと気づきました」
この前代未聞の「オクタゴン茶会」を主催したのは、今年結成されたばかりの「和の心格闘術協会」。代表の山田茂雄氏(62)によれば、「格闘技の激しさと日本の伝統文化の繊細さを融合させる試み」だという。山田氏は元合気道家で茶道歴40年という異色の経歴の持ち主だ。
さらに驚きなのは、この茶会で披露された新技「抹茶チョーク」の存在だ。通常の絞め技に抹茶の香りを組み合わせたこの技は、対戦相手をリラックスさせながら意識を朦朧とさせるという。
「いつもならパニックになるところですが、首を絞められながらも不思議と心が落ち着きました」と、この技をかけられたトニー・フェルガソン選手は語る。「気づいたら『お茶、もう一杯いかがですか』と言っていました。自分でも何を言っているのか分かりませんでした」
茶会の様子はSNSで爆発的に拡散され、特に選手たちが作法に従って丁寧にお辞儀をする姿に「お茶目な一面に萌えた」「ガチムチ茶道部」などのコメントが殺到。過去最高の1500万件のリツイートを記録した。
UFC側も当初は困惑していたが、予想外の人気に「次回はさらに日本文化を取り入れたサプライズを計画中」と前向きな姿勢を見せている。山田氏も「次は茶筅(ちゃせん)や茶碗を使った新技の開発や、和菓子をかけた勝負も検討している」と意気込む。
一方、この茶会の裏には、山田氏が製造する「格闘家のための抹茶サプリメント」の宣伝という側面もあるという指摘も。だが山田氏は「そんな下心はございません。ただ偶然にも今月から全米で販売開始しました。amazonで15%オフクーポン実施中です」と笑顔で答えた。
UFC316は結局、予定より2時間遅れで終了。「血と汗の格闘技」というイメージから「お茶と和の心の格闘技」へと、UFCの新たな一面を垣間見せる歴史的な一日となった。今後は「マット上での立ち振る舞い」が新たな採点基準に加わる可能性もあるという。なお、次回のUFC317では「寿司ロール」という新技も披露される予定だが、これが寿司を巻く技なのか、それとも転がる技なのかは明らかにされていない。