
千葉県船橋市の投票所で、新たな子育て支援策として「投票するだけで自動パスタマシンがもらえる」というキャンペーンが始まり、子育て世代の有権者の間で話題となっています。しかし、投票を終えた市民が手にした「自動パスタマシン」は、実は手動式の安価なパスタ製造器であることが判明し、SNSで「#自動じゃなくね?」がトレンド入りする事態に発展しています。
「まさか手回しだとは思わなかった」と話すのは、5歳と3歳の子どもを連れて投票に訪れた船橋市在住の佐藤さん(34)。「自動というから電動かと思ったのに、ハンドルをグルグル回すタイプだった。子どもは喜んでるけど、私の腕はパンパン」と苦笑いを浮かべます。一方、パスタマシン提供元の担当者は「自動というのは、手動で回すことで自動的に均一な麺が出てくるという意味です。誤解を招いたかもしれません」と弁明しています。
このキャンペーンを企画したのは「全国投票促進協会」を名乗る団体。取材を進めると、この協会が船橋市役所の選挙管理委員会の一部職員が副業として立ち上げた非公認団体であることが判明。代表を務める鈴木氏(45)は「投票率向上のためなら多少の言葉のマジックも必要」と語り、さらに「次回は『自動掃除機』として手持ちほうきのプレゼントも検討中」と驚きの発言。市役所広報部は「全く関知していない」と慌てて距離を置いています。
それでも、投票所に設けられた「親子パスタ作り体験コーナー」は意外な人気を博しています。「うちの子、選挙に行くとパスタができると思い込んで、今朝から『投票!投票!』って騒いでた」と話す井上さん(29)。また、中学2年生の娘と訪れた高橋さん(41)は「娘が政治に興味を持つきっかけになるなら、手動でも自動でもいいかも」と前向きに評価しています。
校内にも設置された投票所で早速取材してみると、手動パスタマシンを回す小学生たちの姿が。「めっちゃエモい光景」と思わず写真に収めてしまいました。ある男子児童は「家にあるパスタは四角い箱から出てくるけど、これは自分で作るからすごい」と目を輝かせ、なぜか「将来は総理大臣になってパスタ大臣も兼任したい」と熱弁していました。
市内のパスタ専門店「パスタリア・フナバシ」のシェフは「手動式は温もりがあっていい。むしろ政治にも温もりが必要では」と哲学的な意見を述べています。一方、市議会では「税金の無駄遣いでは」との指摘も出ているものの、投票率は前回比15%増という結果に。「全国投票促進協会」は次なる作戦として、参院選では「全自動炊飯器(実際は釜と薪のセット)」の配布を密かに計画していることも明らかになっています。
このように、船橋市の投票所をめぐる「自動と手動のズレ」は、市民の間で笑いと驚きを生みだしながらも、皮肉にも民主主義への参加を促す結果となっています。「言葉の解釈は自由。大切なのは自分の手で投票することと同じように、自分の手でパスタを作ること」という鈴木代表の言葉には、深いようで何も深くないような不思議な説得力があります。次の選挙では、どんな「自動」が登場するのか、市民は期待と警戒を込めて見守っています。