
国会議員や地方議員らで構成される「全日本政治家友愛協会」(AJPFA)が会員限定の宇宙旅行プレゼントキャンペーンを実施したところ、当選した全議員が地球に戻る意思を示さず、国会や地方議会で空席が増加する異例の事態となっている。
この協会は「政治家同士の親睦と国際交流」を目的に2年前に設立された組織で、正体不明ながら全国の議員約700人が入会。会費は年間12万円と破格の安さだが、特に活動実績もなく幽霊組織と思われていた。しかし先月、会員に配布された「特典コード」を入力すると、なぜか全員が宇宙旅行に当選。国内大手宇宙旅行会社「スペースエクスカーション社」が提供する3泊4日の宇宙ステーション滞在プログラムに招待されたという。
当選した議員の一人、東京都議の佐藤幸雄氏(57)は宇宙から緊急記者会見をZoom中継。「地球上では解決できない問題も、ここからだと単なる青い点に過ぎない。私はもう戻らない。議会質問はZoomでやる」と宣言した。また別の当選者である茨城県議の鈴木雅彦氏(62)も「地球では私の政務活動費の使途が問題になっていたが、宇宙には検察の捜査権が及ばないことが判明した」と笑顔で語った。
スペースエクスカーション社広報部の西川美咲氏は「定員30名のシャトルに700名近い議員が殺到し、当社の輸送能力をはるかに超えています。しかし彼らは『地球の問題から遠ざかりたい』という一心で、4人乗りのカプセルに8人ずつ詰め込まれても文句を言わない。むしろ『もっと人を乗せろ』と言われます」と困惑を隠さない。
宇宙ステーションでは、政治家たちが「銀河系議員連盟」を結成。「地球温暖化対策」「少子高齢化問題」などの議題を掲げているが、実際の会合では「無重力空間でのスナック菓子の食べ方コンテスト」や「宇宙服ファッションショー」が行われているという内部告発も。議員たちは地球との通信時に「重要な宇宙外交を展開中」と主張し、滞在延長を要求している。
一方、地上に残された秘書たちは混乱を極めている。ある国会議員の秘書は「毎日『宇宙からの指示』と称して『銀河系の平和条約を起草せよ』『エイリアンとの外交準備を進めよ』などのメールが届きます。上司は酸素欠乏でおかしくなっているのではないかと心配です」と証言。
また別の地方議員の秘書は「『宇宙から見ると地方自治体の境界線なんて意味がない』と言われ、隣町との合併計画書を作成するよう命じられました。議員が宇宙から戻らないため、選挙区では『補欠選挙をしてほしい』という声が上がっています」と語った。
専門家によると、全日本政治家友愛協会の正体は謎に包まれたままだ。政治学者の高橋教授(架空大学)は「恐らく政治家たちを地球から一掃し、新たな政治体制を築こうとする何者かの陰謀ではないか。しかし皮肉なことに、議員が不在の間、各自治体の業務効率は20%向上したというデータもある」と指摘する。
世論調査では「政治家全員が宇宙に行ったままでよい」という回答が78%を占め、「地球に戻ってきてほしい」はわずか5%。残りの17%は「もっと遠くの銀河に行ってほしい」と回答した。
なお本紙の取材に対し、全日本政治家友愛協会の広報担当を名乗る人物は「我々は『政治の地産地消』を推進している。政治家は地球で生まれた問題を地球で解決せず、宇宙から『大局的に』見ることで新たな視点を得られる」と回答。特典コードの正体については「ブラックホールよりブラックな情報」として明かさなかった。
議員たちが地球に戻る日は今のところ未定だが、宇宙食の備蓄が尽きる頃には帰還する可能性もある。ただ最新情報によると、議員たちは宇宙で「自給自足型植物工場」の建設を開始したとの報告もあり、完全移住の可能性も否定できない。市民からは「政治家が宇宙に行って初めて地球は平和になった」という皮肉な声も聞かれる。私見だが、毎朝の満員電車や保育園の送迎に追われる身としては、たまには「地球脱出」という選択肢も悪くないかもしれない。もっとも、猫のアレルギーがある私は、宇宙服の中でくしゃみが出たら大惨事だろうが。