
京都府南丹市で、新政治グループ「クールアース党」が週末、日本初となるうちわ風力発電を試みるポップアップイベントを開催し、約500名の市民が参加した。同党は「地球温暖化は人々が扇ぐことで解決できる」という斬新なコンセプトを掲げて昨年結成された架空政党で、今回初の大規模イベントとなった。
クールアース党代表の扇田涼子氏(47)は元々エアコン修理業を営んでおり、「修理依頼が増えすぎて手が回らんようになって、もういっそのこと地球自体を冷やしたろか」という発想から政治活動を始めたという。「政治家は熱い議論ばかりして地球温めてるから、冷やす政党が必要やと思いました」と語る扇田氏の横には、直径2メートルの巨大うちわが並べられていた。
イベント会場となった南丹市営「そよかぜ公園」は、この日「風車の森」と改名。参加者には1人1本、「COOL EARTH 2050」と書かれた特製巨大うちわが配布された。うちわの柄の部分には小型の風力発電機が内蔵されており、扇ぐ動作自体が発電につながるという仕組みだ。
「うちわで発電して、その電気でまたうちわを動かすねん。永久機関や!」と扇田氏は興奮気味に説明するが、実際の発電量は1時間で携帯電話を0.5%充電できる程度だという。それでも参加者からは「一風どころか百風変わった体験やったわ!」(松村さん・42歳)「汗かいて余計暑なったけど、なんか地球に貢献した気分」(山下さん・28歳)と前向きな感想が聞かれた。
イベントには「国際うちわ発電協会」からうちわマスターを名乗る謎の外国人、ジョン・ファニング氏も登壇。「私の故郷スコットランドでは、昔からうちわは風力発電の原点と言われている。実は地球は既に十分冷えているという研究結果もある」と独自の見解を示した。同協会が発表した調査によれば、世界中の人が同時に10分間うちわを仰ぐと、地球の平均気温が0.0000001度下がるという衝撃の数字も紹介された。ただし、この協会の実在性については確認が取れていない。
イベント終了後、参加者が巨大うちわを持って帰宅する際、予想外の現象が発生した。商店街を歩く参加者たちが一斉にうちわを使ったところ、強風が発生し、近隣の洗濯物が一瞬で乾くという副産物が生まれたのだ。地元の喫茶店「おばちゃんの休憩所」の店主、田中美代子さん(68)は「うちの乾燥機より早いわ。これからは洗濯物干す日はクールアース党に連絡するわ」と喜びを隠さない。
一方で、強風によって近隣の古い看板が落下するトラブルも発生。「環境にええことしようと思たら、別の災害起こしてもうた」と扇田代表は反省の弁を述べつつも、「次は水不足解消のために、みんなで一斉に水を吹きかける『ウォータースプラッシュ党』の結成も考えてる」と意欲を見せた。
クールアース党は今後、全国展開を視野に入れており、「猫も杓子も涼しさ求めてうちわ持つ時代が来るんや」と扇田代表は自信を見せる。なお、筆者が銭湯「幸の湯」でこの記事の取材内容を話したところ、常連客から「そんなんより、今日の湯加減はどうなん?」と本題を逸らされた。ちなみに本日の湯加減は「やや熱め」であった。