
南極沖で採取された「1000年物の氷山から抽出した」と謳われた究極のアイスティー「エターナルブルーアイス」が実はただの氷水だったことが判明し、アニメキャラクターたちを巻き込んだ大騒動となっている。商品を発売した「国際氷山ティー協会」は謝罪声明を発表した。
この商品は「氷河期から閉じ込められた空気の泡が生み出す奇跡の味わい」を謳い文句に、1本38,000円という高額商品として先月発売。SNSを中心に「究極の喉越し」「過去と未来を一度に味わえる」と話題になっていた。しかし東京大学低温科学研究所の調査により、実際は一般的な浄水器を通した水道水を冷凍しただけであることが発覚した。
「銭湯の水とほぼ同じ成分です」と語る同研究所の氷川教授は「ただし浄水器のフィルターがやや古かったようで、微量の錆成分が検出されました」と付け加えた。
昨日午後、東京・秋葉原で開かれた謝罪会見には、なぜか人気アニメ「冷たい飲み物は体に毒」のキャラクター「ミルクティーちゃん」と「烏龍ボーイ」が登壇。実在しない架空のキャラクターが現実の会見に登場する異例の事態となった。
「わたし、あのアイスティーを信じてたのに!バカじゃないの〜!?」と涙ながらに訴えるミルクティーちゃんの姿がSNSで拡散され、「2次元と3次元の境界線が崩壊した瞬間」「謝罪会見にアニメキャラを使うのは新しい」とトレンド入りした。
会見後、国際氷山ティー協会の正体も明らかになった。代表を務める氷室凍太郎氏(42)は「実は私、高校の生物教師です。副業でアイスティー販売を始めたところ、思いがけず話題になってしまって…」と告白。商品名の「エターナル」は、彼の愛猫の名前から取ったという。
この騒動、甘いもの好きジャーナリストとして私も当初から注目していた。実は私、高円寺から秋葉原まで往復3時間かけて購入したうちの一人だ。あの日は夏の暑さでダラけた体に鞭打ち、古着屋で購入した「味のある」ハワイアンシャツを着込み、いつものように2つのボイスレコーダーを持参していた。
「銭湯巡りでは水の味にうるさくなった舌が、この究極のアイスティーを正確に評価できるはず」と意気込んでいたが、実際に飲んだ感想は「なんか、水っぽいな…」。それでも「きっと素人の舌では分からない複雑な味わいなんだ」と自分に言い聞かせていた。
「真実を追うのが俺たちの宿命やろ?」と思い、氷川教授に独自取材を試みた私だが、大学構内で迷子になり結局「冷たいものが体に毒」のDVDボックスを購入して帰宅する始末。シェアハウスの隣人がウクレレで奏でる「南極物語」のBGMをバックに、この記事を書いている。
「重要なのは真実よりも体験だ」と語る文化人類学者の雪見だいふく氏(36)は「現代人は日常に非日常を求めている。単なる氷水でも『1000年物』というストーリーを信じることで、特別な体験になる」と分析する。今回の騒動は、日常と非日常の境界線があいまいになっている現代社会を象徴する出来事かもしれない。ちなみに、返金対応については「飲んでしまった分は返金できない」とのことだ。