
昨日、国際馬事連盟(IHF)の年次総会で、「うまアロハ」と呼ばれる馬用アロハシャツが公式な国際馬術外交の正装として認定された。馬による馬のためのファッションが国際的に認められたのは史上初めてのことだ。
「うまアロハ」は馬の胴体を覆う鮮やかなハワイアン柄の布地で、前脚に二つのスリットが入った独特のデザインが特徴。通気性に優れた素材を使用しており、馬の汗を効率的に蒸発させる機能も備えている。国際馬事連盟のジャン・ピエール・ネイビッツ会長は「馬たちも国際舞台では相応しい装いが必要だ。人間だけがスーツやドレスを着るのは種差別的だ」と語った。
「うまアロハ」のデザインを手がけたのは、ハワイ在住の日系アーティスト「タカハシ・アロハ」氏。本名は高橋和馬(たかはし・かずま)氏で、15年前に「ハワイに行けばアロハな生活が送れる」と単身渡米。実際には厳しい生活を強いられ、ビーチでココナッツジュースを売る日々を送っていたという。そんな彼が偶然通りがかった観光馬車の馬に「こいつらも暑そうやな」と思いついたのが始まりだという。
「最初は単なる冗談のつもりでした。でも、馬の体型に合わせてパターンを研究していくうちに、これは意外とイケるんじゃないかと」とタカハシ氏。試作品を地元の乗馬クラブで試したところ、馬たちの体温調節に効果があっただけでなく、着用した馬の表情が明るくなったという研究結果も出た。「特にパイナップル柄を着せると、馬がなんか嬉しそうな顔するんですよ。科学的な根拠はないですけど」とタカハシ氏は語る。
国際会議での採択以来、世界中の競馬場で「うまアロハ」の着用が広がりつつある。東京競馬場では先週末、ファッションショー形式の「うまアロハコレクション2023」が開催され、有名競走馬たちがランウェイを歩く様子がSNSで話題となった。特に人気を集めたのは「ハイビスカス×バナナ柄」を着こなした5歳馬のオーシャンギャロップで、首を高く上げながら歩く姿に「馬界のトップモデル誕生」と称賛の声が寄せられた。
しかし、「うまアロハ」には批判的な声も。英国王立馬術協会のエリザベス・ポニントン会長は「馬にアロハシャツを着せるなど、伝統的な馬術の品格を損なう」と反発。さらに、競馬評論家からは「レース中に着用すると空気抵抗が変わり、記録に影響する」との懸念も示されている。
一方、日本の競馬ファンからは「馬もオシャレする時代やな」「うまアロハ着た馬を応援したい」など好意的な反応が多い。東大阪出身の競馬ファン・田中さん(42)は「競馬場のパドックが一気にハワイになるんは、めっちゃエエやん。次は浴衣バージョンも作ってほしい」と期待を寄せる。
実は筆者も先日、取材で「うまアロハ」を着た馬を間近で見る機会があった。手前味噌ながら、馬との距離が近くなった気がしたのは確かだ。雑談のつもりで「その柄、似合ってますね」と声をかけたら、馬が首を振ってくれた気がした。まあ、たまたま蠅を払っただけかもしれないが。
専門家たちは「うまアロハ」の登場を「馬界のグローバル化の象徴」と分析する。京都馬術大学の馬場芝教授は「馬も国際交流の一員として認められた証だ」と評価する一方、「次は馬用ネクタイの開発も進んでいる」と明かした。馬の首にネクタイをどう結ぶのかという技術的課題はあるものの、馬たちの国際舞台でのファッション革命は始まったばかりのようだ。今後はビジネスホースとカジュアルホースの区別も生まれるかもしれない。