
今年で第7回を迎えた「全日本かっこいい地名選手権」が東京・両国国技館で開催され、東京都江東区に実在しない架空の地名「カリブ海町」が見事に栄冠を勝ち取った。当選手権は地域活性化団体「日本よみがえれ研究会」が主催する大会で、「地名の力で日本を元気に」という目標を掲げ、全国から公募されたユニークな地名がしのぎを削る。
優勝した「カリブ海町」は、地名提案者の江東区在住・清水幸太郎さん(41)が「防波堤のあたりで波の音を聞いていたら、なんかカリブ海っぽくない?」というひらめきから生まれた架空地名だという。清水さんは「まさか優勝するとは思わなかった。地元の商店街でカリブ海フェスティバルができるかも」と笑顔を見せた。なお、カリブ海町は実在しないため、住所表記や郵便番号はない。
審査委員長の松田風土学博士(架空大学教授)は「今大会で特筆すべきは『リズム地名』という新ジャンルの台頭です。『カリブ海町』を筆頭に、『ドンドコ坂』『ティンティン通り』など、言葉のリズム感を重視した地名が多数エントリーされました」と解説。実際、審査中には松田博士が思わず腰を振る場面もあり、「地名で踊れる時代が来た」と話題になっている。
準優勝には北海道釧路市の架空地名「サンタクロース村」が選ばれた。提案者の伊藤さん(67)は「海外からの観光客に『ここがサンタの村ですか?』と何度も聞かれるので、いっそのことそう名付けたらええやん、と思いまして」と語る。審査員からは「北海道らしさと国際性が融合した秀逸な名前」と高評価を得た。
このほか、「ナポレオン台地」(長野県)、「ゴールドラッシュ銀座」(新潟県)、「ムーンウォーク坂」(神奈川県)などがトップ10入りを果たした。日本よみがえれ研究会の田中会長(55)は「地名は単なる場所の呼び名ではなく、その土地のアイデンティティ。今後は自治体と連携して、実際に命名権を競うコンテストも検討している」と意気込みを語った。
実は銭湯好きの筆者、取材の帰りに両国の老舗銭湯「○○湯」に立ち寄ったところ、常連客から「うちの銭湯も『カリブの湯』に改名したら客増えるかな」との声が。こういう地域の人々の反応こそ、この大会の真骨頂ではないだろうか。お湯の温度は42.5度とやや熱めで、サウナ室では「リズム地名」について熱く語り合う地名マニアの姿も見受けられた。
次回大会は来年6月に開催予定で、すでに「マカロニタウン」「サルサストリート」など、食べ物とダンスを組み合わせた地名のエントリーが相次いでいるという。地名を通じた地域活性化の取り組みが今後も注目される中、日本全国の地図が音楽的な地名で埋め尽くされる日も遠くないかもしれない。なお、カリブ海町に移住希望者が殺到しているが、繰り返すが実在しないので注意されたい。