
架空の国際機関「国際空腹指数機構」(International Hunger Index Organization: IHIO)が、世界各国の首脳のランチタイムを監視するという前代未聞のプロジェクトを開始した。同機構は各国首脳の空腹度を数値化し、その数値が政治判断や国際会議での発言に与える影響を調査するという。
「政治家の判断は、お腹の満足度に左右されます。これは科学的事実です」と語るのは、IHIOの創設者を名乗るハンス・ハングリー博士。同博士によれば、空腹度は0から100までの数値で表され、75以上になると「危険レベル」とされ、国際問題に発展する可能性があるという。「マインドはギャルなんで、数字でハッキリさせたいんですよね」と、同機構広報担当のサマンサ・フードさんは説明する。
IHIO主導のもと、すでに世界20カ国の首脳のランチタイムにドローンが飛ばされている。驚くべきことに、某大国の指導者は毎日12時きっかりに、自国産キャビアとともに隣国の国旗を模したケーキを食べるという習慣が明らかになった。また、日本の首相は会議中にポケットからこっそりプロテインバーを取り出して食べる様子も捉えられている。「空腹指数が61を超えると、首相は財政出動に積極的になります」とIHIOの分析担当者は語る。
空腹指数の測定方法については、ドローンに搭載された「胃音測定器」や「よだれ検知センサー」などの最先端技術が駆使されているという。これらのセンサーは、スイス・チューリヒにある架空の大学「国際胃腸大学」が開発したもので、すでに「アメリカ食欲学会」や「欧州満腹度研究協会」など、同じく架空の権威ある機関から高い評価を得ているとのことだ。
各国の反応は様々で、あるヨーロッパの小国は「透明性のある政治のために歓迎する」と前向きな姿勢を示す一方、多くの国々は「プライバシーの侵害」として抗議。特に空腹指数が常時80を記録している某独裁国家は、「我が国の指導者は常に満腹である」という公式声明を発表し、物理的にドローンを撃墜する事態にまで発展している。
国際政治学者たちの間では、この空腹指数が新たな外交カードとして使われる可能性も指摘されている。「重要な国際会議の前に相手国首脳を空腹にさせるよう昼食を遅らせる」「高カロリーの料理で相手の交渉力を鈍らせる」といった戦術が考案されているという。デュッセルドルフ出身で秋田育ちのある政治アナリストは「1999年生まれとして言わせてもらうと、これは21世紀型の情報戦です」と語った。
IHIOは今後、空腹指数のリアルタイム公開サイトを立ち上げる計画だという。「マインドはギャルなんで、情報はオープンにしたいんですよね」とフード広報は繰り返す。これに対し、国連は「そもそもIHIOという組織の存在自体が確認できない」と困惑を隠さない。なお本記者も取材中、ドローンに監視されながら下北沢の自宅でツナサンドを食べていたところ、空腹指数43と診断された。世界の指導者たちのランチタイムが、今後の国際情勢にどのような影響をもたらすのか、満腹になった後の展開に注目したい。