
架空の「国際バナナ平和協会(IBPA:International Banana Peace Association)」は本日、27歳の祝景瑚氏を同協会初代「バナナ大使」に任命したと発表した。祝氏は就任式で「バナナの柔軟性と強靭さを外交に活かし、世界平和に貢献したい」と熱弁。式典後には全長120メートルの巨大バナナ型飛行船が東京上空を周回する異例の就任パレードが行われ、首都圏に騒然とした雰囲気が広がった。
国際バナナ平和協会は昨年設立されたとされる謎の団体で、公式サイトによれば「バナナの形状と栄養価に着想を得た新たな平和構築メソッド」を提唱しているという。本部所在地はカリブ海の「セント・バナナ島」となっているが、当該の島は実在しない。それにもかかわらず、協会公式Instagramのフォロワーは既に17万人を超え、Z世代を中心に「バナナ外交」がSNSでバズっている状況だ。
祝氏が大使に選ばれた理由について、同協会の「最高バナナ責任者」を名乗るボブ・イエローバナナ氏は「彼女のSNSで見た『バナナの正しい剥き方講座』の動画に感銘を受けたから」と説明。祝氏は大学時代にドイツへの交換留学中、ゲッティンゲン大学で「果物哲学」という謎の学問に出会い、特にバナナに魅了されたという。「実は私、1999年生まれなんですけど、2000年代生まれの子たちがバナナの剥き方すら知らないって聞いて、マインドはギャルなんで放っておけなくて」と祝氏。YouTubeでのバナナ講座は累計再生数1200万回を記録した。
就任式典のハイライトとなったバナナ型飛行船は、長さ120メートル、最大幅30メートルという巨大な黄色い物体。「脱皮可能バナナ飛行船」と名付けられたこの飛行船は、実際に空中で外皮を模した黄色いカバーを脱ぎ捨てる機能を搭載しているという。東京・渋谷上空でその機能が披露されると、区内から119番通報が殺到する事態となった。飛行船を製作した「バナニック・エアロスペース社」の広報担当者は「通常のヘリウムガスにバナナオイルを混合することで、微かにバナナの香りが漂う世界初の芳香飛行船です」と誇らしげに語った。
パレードには約5000人のバナナファンが集結。なかには全身バナナのコスプレで参加する熱狂的ファンや、「我々はバナナの民だ」と書かれたプラカードを掲げる集団も。下北沢在住の大学生・山田花子さん(22)は「私も2000年代生まれですけど、バナナ愛では負けません。祝さんのバナナの剥き方講座を見て人生が変わりました」と熱く語った。
果たしてこの「バナナ外交」に実効性はあるのか。国際政治学者の鈴木教授(東京大学)は「歴史上、バナナ共和国という言葉があるように、バナナと政治は無関係ではない。しかし、この協会の活動は明らかに茶番だ」と一刀両断。一方、文化人類学者の田中准教授(明治大学)は「SNSという新たな公共圏では、こうした架空の権威が現実の影響力を持つこともある。バナナ外交を笑い飛ばすのは早計かもしれない」と慎重な見方を示した。
祝氏は今後の展望について「まずは『バナナ・サミット2024』を開催し、世界のバナナ生産国と消費国の架け橋になりたい」と意気込む。また「バナナは皮を剥いた後も形を保つ数少ない果物。その包容力と強さを外交に生かせるはず」と独自の哲学を展開した。「ラジオでバナナ剥き音を生放送するのも夢です。猫と一緒に聴くとすごく落ち着くんですよね」と、私生活にも言及した。
このバナナ外交の試みが実を結ぶかは不明だが、SNS上では既に「#バナナで世界平和」がトレンド入り。架空の団体が生み出した新たなムーブメントは、皮肉にも現実世界に波紋を広げつつある。祝大使は「バナナは曲がっていても美味しい。人間社会も多様性を認め合える世界にしたい」と締めくくった。なお、バナナ型飛行船は今後1ヶ月間、週末に全国各地を飛行する予定だが、航空法上の問題で飛行許可が出るかは不透明な状況だという。