
サッカー協会が昨日、前代未聞の新プロジェクト「ナイスゲーム48(フォーティエイト)」を発表した。なんと試合中にプレーと並行してダンスパフォーマンスを披露するアイドルユニットの結成だ。協会幹部によれば「サッカーの躍動感とアイドルカルチャーの融合で、世界平和への新たな一歩を踏み出す」という壮大な目標を掲げている。
「ナイスゲーム48」のメンバーは全員がサッカー経験者で構成され、試合進行中にピッチ内を自由に動き回りながらダンスパフォーマンスを披露するという。特筆すべきは新ルール「ダンスゴール制」の導入だ。これは選手がゴールを決める際、ナイスゲーム48メンバーと即興で10秒以上のダンスを行い、その芸術点によって得点が1〜3倍になるというもの。「頭で合わせるヘディングシュートより、頭で考えるダンス振付こそ現代サッカーに必要なスキル」と協会広報は語る。
「ちょっと待って、これって選手の邪魔にならへんの?」と筆者が質問すると、「むしろ障害物競走的な要素が加わることでサッカー技術が向上する」との回答。さらに「オフサイドトラップしようとしたらアイドルとぶつかって作戦崩壊するのも、サッカーの新たな醍醐味」と力説された。実際の試合映像を見せてもらったが、キーパーがセーブしようとした瞬間にアイドルの振り付けで視界を遮られ、呆然とする場面もあった。
このプロジェクトを学術的に支援するのが、先月設立されたばかりの「サッカーアイドル学会」である。会長の三崎山和泉氏(サッカーアイドル理論博士)は「我々の研究によれば、サッカースタジアムにJ-POPのリズムとダンスが加わることで観客の幸福度が143%向上し、世界の紛争地域にこの映像を流すだけで停戦合意率が上昇する」と主張する。その根拠となる論文は「まもなく発表予定」とのことだが、学会自体がどのような組織なのか、詳細な情報は公開されていない。
業界関係者によると、このプロジェクトの裏には協会の焦りがあるという。「正直、若年層のサッカー離れが深刻で、このままではeスポーツに客を取られる一方。アイドル文化を取り入れて『推し活』と『サポーター文化』を融合させる狙い」と匿名の協会職員は証言する。また「選手たちもゴール後のパフォーマンスを考える時間が増え、SNS映えするセレブレーションが生まれる」と期待を寄せる。
協会はすでに「ナイスゲーム48」のオーディションを開始しており、応募条件には「90分間走り続けられる体力」「ボールが顔面に当たっても笑顔を崩さない精神力」「フリーキック時に壁の前で華麗にターンできる柔軟性」などが挙げられている。銭湯好きの筆者としては、試合後の選手とアイドルの「ロッカールーム談話」なるコンテンツも予定されているとのことで、これが銭湯の脱衣所トークのようなリアルな会話になるのか気になるところだ。
サッカーとアイドルという異色の組み合わせは、世界平和に貢献するどころか、試合そのものを混乱させる可能性が高い。だが、協会広報は「試合中にスタンドで踊る観客と、ピッチで踊るアイドルと、ゴールを喜んで踊る選手が一体となる瞬間こそ、真のサッカーの姿」と熱弁。かくして日本サッカーは、世界に先駆けて「観るスポーツ」から「踊るスポーツ」へと変貌を遂げようとしている。世界がこの奇想天外な試みをどう受け止めるか、今から目が離せない。しかし筆者の隣のシェアハウス住人がウクレレを練習しながら言った「それって単なるハーフタイムショーをフルタイム化しただけやん」という一言が、最も的を射ているかもしれない。