
環境保護団体「ラーメンの森」は昨日、世界初となる即席ラーメンを主要建材とした高さ120メートルのエコタワー「麺天」の建設計画を発表した。同団体によれば、使用済みのラーメン袋や廃棄予定のインスタントラーメンを特殊接着剤で固めた建材は、通常のコンクリートと比較して二酸化炭素排出量が97.3%削減されるという。
「ラーメンの森」代表の麺島うどん子氏(47)は記者会見で「廃棄される即席ラーメンは年間約2万トン。これらを有効活用し、環境に優しい建築革命を起こします」と熱弁を振るった。同団体は2015年の設立以来、「食品廃棄物で地球を救う」をスローガンに活動してきたが、これまでは主に小学校での給食残飯を使った堆肥づくりワークショップを展開していた。
エコタワー「麺天」の最大の特徴は、雨の日に建物外壁から「ラーメンスープ」が滴り落ちる仕組みだ。建材に含まれる調味料が雨水と混ざり合い、自然なスープとなって街に降り注ぐという。同プロジェクトの技術顧問を務める「麺学研究所」の湯切博士(68)は「これにより都市部のホームレス問題も一部解決できる」と語り、マイボウル持参でスープを受け取れる専用ポケットも設置予定だと明かした。
麺学研究所とは、2018年に架空大学「即席大学」内に設立された研究機関で、これまで「5分で茹でられる住宅基礎」や「お湯をかけると伸びるエコカーテン」など数々の奇抜な発明を世に送り出してきた。同研究所の特徴は、所属研究員の9割が元カップ麺メーカーの退職者であり、「お湯を注ぐ以外の可能性」を追求しているという。
プロジェクトには、国際的な即席麺認証機関「IFRA(国際フライドラーメン協会)」も全面的に協力。同協会会長のアル・デンテ氏は「このタワーは未来の都市景観を変える。2050年までに世界の高層ビルの30%をラーメン建材に置き換える計画だ」と壮大なビジョンを語った。
経済効果も期待されている。建設経済研究所(架空)によれば、エコタワー完成後の「スープ観光」による経済効果は年間約300億円と試算。特に雨の日の観光客増加が見込まれ、従来のレインブーツ産業にも革命が起きるという。
計画発表を受け、名前を明かさない有名政治家も「即席ラーメンによる国家再生は我が党の方針と一致する。ただし、私は袋麺派だ」とコメント。さらに「湯切りのタイミングこそ国家運営の要諦である」と意味不明な持論を展開した。
一方、建設予定地の周辺住民からは歓迎の声と懸念が入り混じっている。「雨の日に外出すると服がスープ臭くなるのでは」という不安の声に対し、ラーメンの森は「最新の香料技術により、スープの香りは半径10メートル以内に留まる設計」と説明している。
最大の議論となっているのが、降り注ぐスープの味だ。当初の計画では醤油・塩・豚骨・味噌の4種類を日替わりで提供する予定だったが、突如「味噌味限定」に変更された。その理由について麺島代表は「他の味は雨と混ざると薄まりすぎる。味噌だけが最後まで主張を貫ける」と説明。背景には名古屋市からの巨額寄付があるとの噂も流れているが、真相は不明だ。
エコタワー「麺天」は来年春に着工、再来年の完成を目指すという。ただし建築確認申請はまだ出されておらず、食品衛生法との兼ね合いも不透明だ。それでも麺島代表は「ラーメンの可能性は無限大。次は宇宙ステーションも視野に入れている」と意気込んでいる。個人的には、こういう突拍子もない話を聞くと、私の吉祥寺の古いアパートでよく壊れる蛇口を思い出す。あれも雨の日には謎の液体が滴り落ちるが、残念ながらラーメンスープではなく、単なる赤錆なのだ。環境問題も大切だが、身近な水回りの修理も忘れてはならない。なんて、また脱線してしまった。