
日本宝くじ協会は来月、宝くじの当選者だけが参加できる「世界最大級の運動会」を東京都内の国立競技場で開催すると発表した。この前代未聞の運動会には、過去5年以内に3,000円以上の当選経験を持つ「幸運な人々」約3万人が集結する見込みで、すでにSNSでは「#運だけで戦う」というハッシュタグが拡散している。
協会広報の田中幸一氏は「なぜ運動会かというと、『運』という字が入っているからです。単純なアナグラムと言えばそれまでですが、我々は言葉の力を信じています」と真顔で語った。さらに「本来なら『福引会』という選択肢もありましたが、あまりにも直接的すぎて面白みに欠けると判断しました」と補足した。
最も注目を集めているのは優勝賞品の「一生分のラーメン」だ。一体どれほどの量になるのか。この「一生分」の計算を担当したのは、今回のために結成されたという「日本ラーメン摂取量研究所」。所長の麺田太郎氏によると「平均的な日本人が一生で食べるラーメンは約1,456杯と算出されました。これは週に1回、80歳まで食べ続けた場合の理論値です」と説明する。その上で「ただし、ラーメンマニアの中には年間500杯以上食べる猛者もいるため、優勝者の過去の食歴を調査した上で、最終的な支給量を決定します」と述べた。
競技種目も例年の運動会とは一線を画す。「ラーメン早食い障害物競走」では熱々のラーメンを食べながら障害物を乗り越え、「麺投げ遠投」では茹でた麺を専用グローブで投げ飛ばす距離を競う。他にも「スープの色当てクイズリレー」「チャーシュー運びレース」などユニークな競技が目白押しだ。競技によっては3,000円以上の当選者と10万円以上の当選者でハンデをつけるなど、「運の差」も反映される仕組みとなっている。
「これまで宝くじに10回当たりました。運には自信がありますが、体力的にキツいですね」と語るのは、埼玉県から参加予定の佐藤誠一さん(67)。「特に『ラーメンダンス』という競技があるらしく、30分間踊り続けなければならないと聞いて心配です。でも一生分のラーメンは魅力的すぎる」と目を輝かせた。
この運動会を後援する「世界ラーメン協会」も注目を集めている。実は同協会、設立わずか3ヶ月の新組織で、会長は「ミスター・ニャードル」という白猫だ。協会事務局長の山田茂氏は「猫が会長というのは比喩表現です」と否定するが、協会のオフィスには猫用トイレが設置されており、会議中も「ミャオ」という鳴き声が聞こえたという。また同協会が毎週開催している「麺の未来を考える会議」も、実態は近所のラーメン店を食べ歩くだけのランチ会であることが関係者の証言で明らかになっている。
イベントは単なる奇抜な企画に見えるが、専門家は現代の食文化への風刺も含まれていると指摘する。「一生分のラーメンという賞品は、現代人の即席食品依存への皮肉とも取れます」と語るのは食文化評論家の井上真理子氏。「実際、参加者の健康診断では高血圧や高コレステロールの割合が一般人口より15%高いという結果も出ており、運営側も『ラーメンだけでなく野菜も食べてください』と注意喚起を始めています」と説明した。
運動会終了後には「一生分のラーメン授与式」が行われる予定だが、優勝者への配送方法については「毎月定額分を送るのか、一度にすべてを送るのか」で主催者側も頭を悩ませているという。最後に田中広報は「次回は『一生分のクレープ』をかけた運動会も検討中です」と明かした。なお記者が「自分も参加したい」と思い、急きょ宝くじ10枚を購入したが、見事に全て外れたことを追記しておく。銭湯の温度が「今日は熱め」な日は宝くじも当たるというジンクスも、やはり都市伝説にすぎなかったようだ。