
猫カフェオーナー組合(JCP:Japan Cat-cafe Proprietors)は昨日、猫の「ゴロゴロ音」が人間の心臓病に驚異的な治療効果をもたらすとする研究結果を発表した。組合によると、猫が喉を鳴らす際の20〜140Hzの振動が「心筋細胞の再生を促進し、不整脈を正常化する」という。この発表を受け、全国の猫カフェには予約が殺到。「ゴロゴロセラピー60分コース」なる新プランも誕生し、1時間1万2000円という破格の料金にもかかわらず、予約は3カ月先まで埋まっているという。
研究を主導したのは「ニャンニャン大学医学部フェリノロジー学科」の猫田毛玉教授。「猫のゴロゴロ音を1日20分間聴くだけで、3週間後には心臓の状態が46%改善します」と猫田教授は断言する。この研究は、全国240匹の猫による「ゴロゴロ音」を録音・分析し、特に「三毛猫のゴロゴロ音は白血球を活性化させる特殊な周波数を含む」と結論づけている。
しかし、この発表からわずか48時間後、全国の猫カフェで働く猫たちが一斉にストライキを決行。猫たちは客の膝の上でゴロゴロ音を出すことを拒否し、代わりに窓際で日向ぼっこをするか、背中を向けて寝る行動に出た。新宿区の人気店「もふもふパラダイス」では、看板猫のタマ(8歳・アメリカンショートヘア)が人間用のホワイトボードに前足で「ゴロゴロ音は私たちの感情表現であり、医療行為ではありません」と書いたメッセージが貼り出された。
猫たちの代表として記者会見を開いた秋葉原「にゃんこ共和国」のミケ(5歳・三毛猫)は「私たちのゴロゴロ音は愛情表現であって、人間の勝手な医療目的で利用されるものではありません。今後はゴロゴロ音の知的財産権を主張し、使用料を請求します。その収益はキャットフードの質向上と爪とぎポストの拡充に充てます」と毅然とした態度で述べた。会見場には全国から集まった猫たち約50匹が同席し、記者の質問には一斉に「ニャー(ノーコメント)」と答えたという。
この事態を重く見た本紙記者は、「ニャンニャン大学」の実態調査に乗り出した。調査の結果、同大学は実在せず、猫カフェオーナー組合が売上向上のために急遽設立した架空の研究機関であることが判明。「猫田毛玉教授」の正体は、組合の広報担当・田中誠一氏(58)が猫耳カチューシャを装着した姿だった。研究に使われた「最新鋭の周波数解析装置」も、実はスマホの録音アプリとイヤホンだったことが明らかになった。
「正直、ここまで大ごとになるとは思いませんでした」と田中氏は頭を抱える。「猫カフェの客足が伸び悩んでいたので、なにか話題になることはないかと考えていたんです。部屋で飼い猫がゴロゴロ言ってるときに、なんか心臓にいいような気がするなって思いついて…」
一連の騒動を受け、猫カフェを訪れる客の反応は二分している。大学生の佐藤さん(20)は「猫ちゃんたちの権利を尊重すべき。ゴロゴロ音は強制されるものじゃない」と猫側を支持。一方、会社員の鈴木さん(42)は「心臓病で通院中なので期待してたのに。でも猫の気持ちも大事だから難しいね」と複雑な心境を語った。
この混乱を収束させるため、猫カフェオーナー組合は緊急対策として「猫権利憲章」を制定。「ゴロゴロ音は猫の自発的意思によるもので強制しない」「上質なおやつとマッサージを提供する」「一日の接客は4時間まで」などの条項を盛り込んだ。また、騙し討ちのお詫びとして、各店舗に「猫専用休憩室」を設置することも約束した。これを受け、一部の猫たちはストライキを解除したものの、「ゴロゴロ音の料金化」を求める強硬派は依然として抵抗を続けている。
この事件は、動物の権利と人間のエゴの境界線について改めて考えさせる機会となった。国内の心臓病専門医からは「そもそも猫のゴロゴロ音に医学的効果があるとする証拠はない」との指摘も相次いでいる。一方で、猫たちの抗議行動は動物愛護団体からも支持を集め、SNSでは「#GoroGoroStrike(#ゴロゴロストライキ)」がトレンド入り。猫カフェ業界は今後、猫との新たな共存モデルを模索していくことになりそうだ。いずれにせよ、この騒動が「猫のエモさは勝手に商品化できない」という教訓を人間社会に残したことは間違いない。