
米国政界に衝撃が走っている。人気アニメ「ドラゴンボール」の主人公・孫悟空が、ロサンゼルス・ドジャースのマスコット「ドジャー」とタッグを組み、次期大統領選への出馬を電撃表明したのだ。架空のキャラクターによる前代未聞の政界進出に、各界から驚きの声が上がっている。
悟空陣営によると、「地球を何度も救ってきた実績がある」として、主要政策に「元気玉外交」を掲げ、国際紛争の解決に当たるという。「みんなの気持ちを少しずつ分けてもらうだけで、大きな力になる」と、国民の団結を呼びかけている。
アニメキャラクターの現実世界進出は近年急増しており、昨年の統計では架空キャラクターの実社会活動が前年比340%増加。特に政治分野への参入は「既存の政治家への不信感」が背景にあるとの分析もある。カリフォルニア工科大学メディア研究所のアマンダ・ジョーンズ教授は「フィクションとリアルの境界線が薄れつつある現代社会において、架空キャラクターへの信頼度は実在の政治家を上回りつつある」と指摘する。
特に注目されるのが、メジャーリーグの名門チーム・ドジャースのマスコット「ドジャー」との異色のタッグだ。政治とスポーツ、アニメという三者の結びつきについて、悟空は「オラ、強い相手と戦うのが好きだからな。ドジャーも同じ気持ちみたいだし」と語る。ドジャースの広報担当者は「ノーコメント」としながらも、球団内では「悟空のホームラン級の発言力」に期待する声も出ているという。
アニメとスポーツの共通点について、スポーツ社会学者の田中誠一氏は「どちらも『夢』や『努力』を体現するエンターテイメント。そこに政治という現実的な要素が加わることで、新たな社会変革の可能性が生まれるかもしれない」と分析する。
悟空の選挙公約には「瞬間移動による交通革命」「かめはめ波エネルギーの実用化」「龍球を使った願い事叶え放題制度」などが掲げられており、従来の政治家には不可能だった政策を打ち出している。特に「超サイヤ人変身による軍事費削減」は、国防予算の87%削減につながるとの試算も出ている。
市民の反応は賛否両論だ。サンフランシスコ在住のティム・ブラウンさん(42)は「悟空なら本当に変革をもたらしてくれそう。少なくとも現職よりマシだ」と期待を寄せる一方、ニューヨーク在住のサラ・コーエンさん(35)は「架空キャラクターに投票するなんて民主主義の冒涜。まるでSNSのミーム選挙だ」と憤る。
法的には「実在しない存在の立候補資格」という前例のない問題も浮上している。ハーバード大学憲法学教授のジェームズ・ウィリアムソン氏は「米国憲法には『実在しなければならない』という明文規定はない。問題は『生まれながらの市民』という条件をアニメキャラクターが満たせるかどうかだ」と指摘する。
悟空陣営は「オラは地球育ちだ!」と主張するが、厳密には「惑星ベジータ生まれの宇宙人サイヤ人」であるため、出生地論争も巻き起こっている。移民問題専門家は「宇宙からの移民にも権利を」と訴える一方、保守派からは「地球外生命体による政権乗っ取り」との批判も。
今回の出馬表明は、政治とエンターテイメントの融合が極限まで進んだ象徴とも言える。選挙専門家は「もはや政治家の実在性よりも、有権者の心を掴むキャラクター性の方が重要視される時代になった」と分析する。来年の予備選に向け、悟空とドジャーのコンビがどこまで戦えるのか、注目が集まっている。
私が名古屋の高校時代、放送部でラジオドラマを作っていた頃を思い出す。「もし架空の人物が現実を動かしたら」というテーマで作品を作り、先生から「あまりにも荒唐無稽だ」と言われたものだった。それが今や現実味を帯びる時代。SNSでは「#悟空2024」がトレンド入りし、Zドラゴンを模した選挙ポスターが街中に貼られている。虚構と現実の境界線が溶け合う中、私たちは一体どんな社会を選択していくのだろうか。バス停で降りる場所を間違えるように、私たちは気づかぬうちに、フィクションの世界に足を踏み入れているのかもしれない。