
セフィロス本人を名乗る人物が大阪市内のカラオケボックスで「片翼の天使」を熱唱したと噂が広がり、全国のスナックが次々と「セフィロス・スナック」と名乗り始める異例の事態が発生している。
きっかけは先月末、大阪市北区のカラオケ「まねきねこ」梅田店で起きた一件だ。黒いコートに銀髪、そして長大な刀を持った男性がカラオケルームに入室。「お前たち、見ているか」と言い残し、ファイナルファンタジーVII(FF7)のラスボスであるセフィロスのテーマ曲「片翼の天使」を歌い始めたという。
「あの歌唱力は人間のものとは思えませんでした。最後の高音部分なんて、天井のスピーカーが破裂するかと思いましたわ」と目撃者の梅田在住の主婦(42)は語る。この様子がSNSで拡散され、瞬く間に全国のFF7ファンの間で話題となった。
その後、この「セフィロス現象」は思わぬ展開を見せる。全国のスナック経営者たちが次々と店名を「セフィロス・スナック」に変更し始めたのだ。東京・高円寺の「スナックゆり」を「セフィロス・スナック高円寺店」に改名した店主の宮本さん(58)は「うちは昔からカラオケが売りやったけど、このブームに乗らない手はないでしょ。実際、売上3倍になりましたわ」と笑顔で語る。
この現象について、架空の「ミッドガル大学ゲーム社会学部」のホジョ教授(47)は「現代人は日常に『物語性』を求めている。普通のスナックでカラオケをするより、『セフィロスの真似をしている』という設定付きで歌う方が、自分を表現しやすいのだ」と分析する。
大阪府東大阪市出身の筆者としては、地元のスナックにも足を運んでみた。「セフィロス・スナック布施」に変身した老舗スナック。店内には等身大のセフィロス立て看板が置かれ、「星に還れ」「絶望を教えてやろう」などの名セリフがLED電飾で輝いている。マスターの田中さん(65)は「セフィロスって誰かは知らんけど、とりあえず若いもんが来るならええわ」と話す。
この現象で最も興味深いのは、「片翼の天使」の採点モードでの難易度だ。多くのカラオケ機種で最高難易度を誇るこの曲が、今や「セフィロスチャレンジ」として全国で挑戦者が続出。銭湯巡りが趣味の筆者も「シメのサウナでこの曲を思い出すとついハミングしてしまう」という罠に陥っている。
「セフィロス・スナック」はすでに全国で約1,200店舗を超え、中にはスクウェア・エニックスからの警告書を受け取りながらも「うちはゲームとは関係ない」と開き直る店舗も。そのうち、「クラウド・スナック」「エアリス・スナック」などの派生店も登場し始めたという。
セフィロス本人の身元については依然不明だが、梅田のカラオケ店の防犯カメラには「ただのコスプレイヤーと思われる男性」が映っていたという情報も。しかし、この現象がもはやひとりの男性の熱唱から離れ、新たな「サブカルチャー聖地巡礼」として定着しつつあるのは間違いない。ファンたちは今夜も各地のセフィロス・スナックで、美しき片翼の天使と共に高音を目指し続けている。(おだしょー)