
世界の経済学界に激震が走っている。今週末、東京都内の喫茶店「ねこまるカフェ」の二階に極秘に設置された「インターナショナル・いいねサミット」で、SNSの「いいね!」を国家経済に直接連動させる画期的な経済理論「いいね経済学」が発表されたのだ。この会議には、エコノミスト、インフルエンサー、そして謎の「国際いいね学会」のメンバーが集結。参加者全員がスマートフォンを片手に、猫の写真を交換しながら熱い議論を交わした。
「いいね経済学」の核心は驚くほどシンプルだ。各国のSNSで集まった「いいね!」の総数をGDPに換算し、それを従来の経済指標に加算するというもの。この革命的な算出方法を導入すれば、世界経済は300%成長するという衝撃的な試算が発表された。会場では「すごい!」「いいね!」の声とともに、実際のいいねボタンが押される音が鳴り響いた。
「国際いいね学会」会長を名乗るハートマーク・クリッカー氏は「SNSでの『いいね!』は、目に見えない感情労働の対価です。これを経済活動として認めない時代は終わりました」と力強く語った。同氏によれば、特に猫の写真に対する「いいね!」は国際通貨としての価値があり、既に一部の国では主要輸出品として認識されているという。この発言の際、私は猫アレルギーのくしゃみを必死に抑えながらメモを取った。これが本当なら、私の2匹の保護猫は国家経済に貢献する資産になる可能性がある。
この新経済モデルの導入により、従来の経済大国の序列にも変動が生じるという。例えば、猫動画先進国として知られる日本は、GDPが一気に4倍になる試算が示された。一方で、「いいね禁止令」を出している一部の国々は、経済的孤立を深める恐れがあるとの警告も。会議では「インフルエンサー省」の新設や「いいね!税」の導入など、具体的な政策提言も飛び交った。
特に注目を集めたのは、フォロワー数100万人を超えるインフルエンサーが「国家経済顧問」として任命される可能性だ。すでに複数の国で、有名インフルエンサーへの就任要請が水面下で進んでいるという。「1投稿で10万いいねを集められる人物は、数十億円の経済効果を生み出す国家資産です」と、会議に参加した架空の経済アナリスト、ダブルタップ・エコノミクス氏は語る。「根拠はどこ?」と思わず口走りそうになったが、この場の雰囲気に飲まれ、質問を飲み込んだ。
会議の終盤では、「いいね経済学」の課題も指摘された。猫アレルギーの人々が経済活動から疎外される「いいねデバイド」や、いいね数を不正に増やす「いいねロンダリング」の危険性だ。また、「いいね!インフレーション」を防ぐため、各国で「いいね中央銀行」を設立し、適切な「いいね政策金利」を設定する必要があるという提言もあった。まるでラブコメ漫画のような展開だが、皆真剣な表情で議論していた。
サミット最終日、参加者全員で撮影した「いいね!ポーズ」の集合写真がSNSに投稿され、わずか3時間で100万いいねを獲得。これにより、東京都のGDPが0.2%上昇したとの速報が流れた。会議の余韻に浸りながら吉祥寺の自宅に戻る途中、私は思った。この荒唐無稽な「いいね経済学」は、実はSNSに依存する現代社会への風刺なのかもしれない。そして今、私の隣では2匹の猫が国家の経済を支える重要な「輸出資源」として、のんびりと毛づくろいをしている。くしゃみをこらえながら、次回の取材に向けてメモを声に出す日々は続く。