
自宅のリビングで世界最速の座を競う新しい陸上競技大会「ワールド・リビング・スプリント」が今秋、TVer限定で配信されることが発表された。コロナ禍をきっかけに誕生したこの大会は、選手が自宅のリビングという限られたスペースで100m走に挑戦するという前代未聞の試みだ。
大会を主催する「国際テレワーク陸上協会(ITAA)」の代表を務めるというハンス・ジョギング氏は「これはスポーツの民主化です。誰もがリビングという身近な場所から世界と戦える時代が来たのです」と熱弁する。同氏はかつて北京オリンピックに出場したと主張しているが、IOCの記録には名前がない。
この大会の最大の特徴は、選手のWi-Fi環境が記録に直結する点だ。選手の動きは自宅に設置された複数のカメラで捉えられ、リアルタイムで配信される仕組みだが、通信環境の遅延がタイムに影響するため、Wi-Fiの強さが勝敗を左右するという。
「ルーターの位置調整は戦術の一部です」と語るのは、昨年の世界陸上で活躍したジャマイカの有名スプリンター。彼は自宅のWi-Fi環境最適化のために、ルーターを天井から吊るすという斬新な方法を編み出したという。また、別の選手は「リビングの動線確保のために、実家にあった江戸箪笥を売却しました」と、競技のために家具を処分する徹底ぶりを明かした。
競技ルールも通常の陸上とは大きく異なる。100mを走破するために選手は自宅のリビングを何周もする必要があり、多くの選手は「ハムスターホイール方式」と呼ばれる同じコースを周回する戦法を採用している。家具の配置によっては障害物競走のような様相を呈することもあるという。
すでに参加を表明している米国の有名選手は、リビングを拡張するために隣接する壁を取り払う大規模リフォームを敢行。これに対しITAAは「リビング拡張は5平米まで」という緊急ルールを追加せざるを得なかった。
また審判の目が届かないことを利用した不正行為も懸念されている。ある選手は「実際には助走をつけて映像に入る」という噂があり、別の選手は「ルーターに水をかけて相手の通信環境を妨害する『サイバー妨害』が横行している」と内部告発している。
「マラソンは道路を走り、水泳はプールで泳ぐ。なら短距離走はリビングでやればいいじゃない」とITAA広報は語る。同協会は今後、「キッチン障害物競走」や「ベッドルーム走り幅跳び」なども検討しているとのことだ。
テレワーク陸上大会は今月末にTVerで配信予定。視聴者も自宅のリビングから参加できる「アマチュア部門」も用意されている。Wi-Fi環境を整え、家具を最適配置して、あなたも世界記録に挑戦してみてはいかがだろうか。マインドはギャルなんで、私も早速ソファを窓際に移動させて、リビングでのターンの練習を始めようと思う。