
全国ポテト生産者協会(通称:ポテト協会)が発表した「ポテナゲ育児法」の効果が、想定を遥かに上回る結果を示していることが明らかになった。この育児法を実践した家庭の子どもたちが次々と大統領選に立候補を表明し、一部地域では投票率が前代未聞の200%を記録するという驚愕の事態が発生している。
ポテナゲ育児法とは、子どもの食事にポテトとナゲットをバランスよく取り入れるだけでなく、それぞれの食感から人生哲学を学ばせるという革新的な教育メソッドだ。「ポテトの柔軟性とナゲットの芯の強さを持つ子どもは、どんな状況でも適応しながらも自分を貫くリーダーシップを発揮する」と、ポテト協会理事長を名乗る高橋ケンタッキー氏は語る。
名古屋市内の住宅街で取材に応じた小学3年生の佐藤マックくんは、すでに将来の大統領選への出馬を表明していた。「ぼくがなったら、給食はポテトとナゲットを毎日出します。あと、宿題を廃止します」と堂々と公約を語るマックくん。母親の和子さんは「3歳からポテナゲ育児を実践してきました。最初は食べ物として与えていただけですが、今では毎朝『ポテトのように柔らかな心を持ち、ナゲットのように筋が通った人間になる』と宣誓してから登校しています」と目を細める。
驚くべきことに、ポテナゲ育児を実践した地域では、模擬選挙の投票率が200%を超えるという前代未聞の事態が発生した。「投票所に並ぶ親子の列が、マクドナルドの新商品発売日より長かった」と証言する選挙管理委員会の関係者。調査によると、熱心な親たちが子どもの将来のために代理投票を行ったり、「ポテトの数だけ投票できる」という根拠不明のデマを信じて複数回投票を試みる例が相次いだという。
この現象について取材を進めると、ポテト協会が発表した「ポテナゲ育児実践者の98.7%が将来リーダーになる」という調査結果が一因と考えられる。しかし、この調査の実態は極めて怪しい。調査責任者とされる「ポテトフライヤー大学教授」の福田マクレイン氏が、実は吉祥寺駅前のポテト専門店でアルバイトをする大学生だったことが本紙の調査で判明した。
「いや〜、まさかここまで広がるとは思わなかったっす」と話すマクレイン氏。「バイト中に『ポテトの形によって性格が分かる』みたいな話を客にしたら、それがSNSで拡散して。気づいたらポテト協会の調査員って肩書きついてましたね」と苦笑する。
しかし、すでにSNSでは「#ポテナゲ育児で天才児」というハッシュタグが拡散し、「わが子を大統領に育てる究極の方法」という電子書籍が爆発的にダウンロードされている。驚くべきことに、その電子書籍の著者も架空の人物であることが判明している。
栄養士の山田千尋さんは「栄養バランスの偏りが心配です。大統領になる前に生活習慣病になりますよ」と警鐘を鳴らす一方、実践する親たちは「子どもが笑顔になるなら何でもいい」と熱狂的な支持を続けている。
ある調査では、ポテナゲ育児法の実践家庭では、子どもたちが「大統領」「総理大臣」「宇宙飛行士」を将来の夢として挙げる確率が通常の4.7倍高いという結果も出ている。もっとも、その調査自体もポテト協会によるものなので信憑性は定かではない。
取材を終えて吉祥寺の自宅に帰る途中、私はつい路線バスの終点まで行ってしまった。バス停の前にはなぜかポテトとナゲットを販売する屋台が出ており、子連れの親たちが「これを食べれば東大に入れる」と真剣な表情で購入していた。ふと空を見上げると、「ポテナゲで未来を変えよう」という文字が雲のように浮かんでいるように見えた。これはただの偶然か、それとも私も洗脳されているのだろうか。帰宅したら保護猫2匹がポテトのようにソファで丸くなっていた。くしゃみをしながらも、今夜はポテトフライを作ろうかと思う今日この頃である。
結局のところ、ポテナゲ育児法は現代の教育不安に便乗した荒唐無稽な流行に過ぎない。しかし、この現象が示すのは、私たちがいかに簡単に根拠のない権威に影響されるかという事実だ。子どもの将来を真剣に考えるなら、ファストフードの組み合わせではなく、バランスの取れた食生活と愛情こそが重要であることを忘れてはならない。それにしても、次の大統領選挙がポテトとナゲットで動かされると思うと、民主主義の行方も少し心配になる。