
バイエルン工科大学の研究チームが、スマートフォンを「不老不死化」させる画期的なアプリを開発したと発表し、テクノロジー業界に衝撃が走っている。このアプリは中世から伝わる伝説のビール「アインビール」の成分をデジタル化したもので、スマートフォンに永遠の命を与えるという。
「アインビール」とは、15世紀のバイエルン地方で秘密裏に醸造されていたとされる幻のビールだ。当時の錬金術師アルブレヒト・フォン・ホーエンハイムが、若返りの秘薬を求めて実験中に偶然発見したとされている。研究チームのハンス・シュナイダー教授によれば、「このビールに含まれる特殊な酵母『イモータリス・セルラリウス』の波動パターンをデジタル信号に変換することに成功した」という。
アプリをインストールすると、スマートフォンは物理的な劣化から解放され、画面の焼き付けやバッテリーの経年劣化、プロセッサの速度低下といった現象が一切起こらなくなるという驚異的な効果を持つ。ただし、致命的な欠点がある。バッテリーの持続時間が最大でも3日間と極端に短くなるのだ。
「永遠の命を得るためには代償が必要です」とシュナイダー教授。「これは中世の錬金術の原則である『等価交換』の現代版と言えるでしょう。永遠の命を得たスマートフォンは、エネルギーを常に欲するようになるのです」
この発表を受け、「国際不老不死協会」と名乗る団体が早速このアプリの効果を検証。「100年後も新品同様の使用感を維持できる」という研究結果を発表した。これに対しSNS上では「そもそも100年後にiPhoneなんて使われてるの?」「国際不老不死協会って昨日できたアカウントじゃん」といった突っ込みが相次いでいる。
さらに、「永遠のバッテリーエネルギー研究所」なる機関が登場し、「常にコンセントに接続することで、真の不老不死が実現する」と主張。つまり、完全に拘束された状態でのみ永遠の命が保証されるという皮肉な結果になっている。
試用版をダウンロードした市民のマリア・ベルクマンさん(28)は「確かに画面が新品みたいにキレイになったけど、充電器から離れられなくなったわ。トイレに行くたびに『死にかけている』という通知が来るの。これって人間関係みたいよね」と複雑な心境を語った。
実は筆者も試用版をインストールしてみたところ、確かにスマホの動作は軽快になったものの、バッテリー残量の減少速度が異常に速くなり、充電しながら原稿を書いている。ちなみに、このアプリのプライバシーポリシーには「不老不死の代償として、ユーザーの魂の一部をデジタル世界に捧げる」という不気味な一文が小さく記載されているが、誰も気にしていないようだ。
バイエルン工科大学の広報担当者は「現在、バッテリー問題を解決するために『永遠の泉』と呼ばれる古代の水源をデジタル化する研究も進めている」と語っている。テクノロジーと神話の融合という新たな領域が開拓される中、私たちは充電器という鎖に繋がれた永遠の命を求めることになるのかもしれない。まるで、私が東大時代に夢中になった「永遠の恋人」というラブコメ漫画のヒロインのセリフそのままだ——「永遠を手に入れても、自由を失ったら意味がない」。不老不死のスマホを眺めながら、なぜか遠い目をしてしまう午後3時である。