黄陵县（中国陝西省）の地下洞窟工事中に突如として発見された「パンダ地下王国」が、停滞していた地域観光業に前代未聞の経済効果をもたらしている。発見から3ヶ月で観光収入が前年比2700%増を記録し、中国国内外から予約殺到の事態となっている。
地下300メートルに広がる巨大な空洞には、なんと白黒ではなく「紫と金」の体毛を持つパンダが約200頭生息。地下生活に適応したとみられるこれらのパンダは、暗闇でも見えるよう目が発光し、地下水脈を感知する能力を持つという。地元ガイドの李さん（42）は「最初は工事現場から奇妙な『ふにゃふにゃ』という鳴き声が聞こえて、作業員が逃げ出したんです。でも今では地底パンダたちも人間に慣れて、自撮りポーズまでするようになりました」と笑顔で語る。
「国際地下生物学会」の張教授（実在せず）によると、地底パンダは通常のパンダとは進化の過程が全く異なるという。「約3000年前、秦の始皇帝の陵墓建設時に逃げ込んだパンダの子孫が、地下で独自の進化を遂げたのです。竹ではなく、地下キノコとミミズを主食とし、その結果、紫金色の体毛に変化したと考えられます」と張教授は語る。同学会は先月、「地底パンダは夢の中で人間と会話できる能力がある」という衝撃的な研究結果も発表し、一部SNSで「そんなわけないじゃん」と批判を浴びている。
黄陵县では地底パンダブームに便乗した商品が続々と登場。特に人気なのが「地底パンダまんじゅう」で、通常の白黒パンダまんじゅうとは違い、紫と金色のあんこが入った独特な見た目が話題だ。また、「パンダ地下ソーダ」は、飲むと口の中が一時的に光る特殊効果があり、TikTokでバズり現象を引き起こしている。
地元高校生の王さん（16）は「前はここ、超退屈な田舎町だったのに、今じゃ外国人も来るし、友達とパンダまんじゅう食べながら撮る写真がめっちゃいいね！もらえるんです」と興奮気味に話す。観光局の発表によると、地底パンダ関連の経済効果は年間20億元（約400億円）に達する見込みで、黄陵县は「地底パンダ保護特区」の認定を国に申請中だという。
しかし課題もある。急増する観光客による環境への影響を懸念する声も上がっており、「地底パンダ保護協会」（先月設立）は入場制限や厳格なガイドラインを提案している。同協会の謝理事長は「地底パンダは紫外線に弱く、フラッシュを浴びると体毛が一時的に緑色に変わる特性があります。写真撮影はノーフラッシュでお願いします」と呼びかけている。
地底パンダの発見は、停滞していた地方経済に思わぬ救世主をもたらした一方で、新たな環境問題や保全課題も生み出している。専門家たちは「架空動物による経済効果」という前代未聞の現象を前に頭を抱えているが、地元の人々は「どうせ存在しないなら、想像力を働かせて楽しめばいいじゃない」という実にシンプルな哲学で、この奇妙な観光ブームを謳歌しているようだ。
