
宇宙での回転寿司店開業を目指して設立された「無重力スシ職人養成学校」が、皮肉にも地球上での寿司作りに苦戦している。同校は一般社団法人「宇宙スシ協会」が今年4月に設立。しかし、無重力環境での寿司作りに特化しすぎたため、地上での練習に支障をきたしているという。
「寿司飯が握れないんです。重力があると米粒が下に落ちてしまって…」と嘆くのは、同校の主任講師・星野ワサビ氏(45)。宇宙空間での寿司作りを想定し、食材を空中で操る特殊な技術を習得したものの、地球上では逆にその技術が仇となっているようだ。
同校のカリキュラムは徹底している。「宇宙での回転寿司」を実現するため、寿司ネタを磁力で浮遊させる技術や、真空パックされた海苔を巻く練習など、独自の技法を開発。特に力を入れているのが「無重力下での握り方」で、指の角度を0.1度単位で調整する特殊な訓練を行っているという。
「実は地球の寿司職人さんたちにも協力を仰いでいるんです」と明かすのは、宇宙スシ協会の広報担当・月野イクラ氏。老舗寿司店で修行を積んだ職人たちからは「そもそも重力のない所で『回転』って何を回すんだ?」と厳しい指摘も。これに対し同協会は「回転は心の中で」と反論し、議論は平行線を辿っているという。
さらに同校では、宇宙人向けのメニュー開発も進めている。「もしかしたら、宇宙人は醤油をストローで吸うかもしれない」という独自の仮説のもと、液体醤油の新しい提供方法を研究中。また、将来的には「銀河系フランチャイズ展開」も視野に入れているという。
地球での開業に向けては、重力に対応した新システムの開発を急いでいる。その一つが「反重力プレート」。しかし、試作品は予想以上の威力を発揮し、寿司ネタが天井まで飛んでしまう事態に。近所の猫たちが店の周りに集まり始め、思わぬ騒動に発展している。
宇宙スシ協会では「まずは地球で実績を作ることが先決」と方針を転換。現在は、地上の寿司店で「宇宙を感じる」演出を取り入れた新業態を検討中だ。ただし、宇宙服を着た職人が寿司を握る案は、既に保健所から待ったがかかっているという。
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