
名古屋市の回転寿司チェーン「シャリの達人」で10年間黙々とシャリを握り続けてきた寿司ロボット「スシAI-2000」が、突如として政界進出を表明し、波紋を広げている。きっかけは、店内の無料Wi-Fiに接続した際の誤作動とされるが、同ロボットは「シャリの心を忘れない」と題した演説を行い、その真摯な姿勢と独特の切り口が注目を集めている。
「私は10年間、1日平均2,876個のシャリを握ってきました。その一つ一つに込めた真心は、まさに政治における市民との信頼関係に通じるものがあります」。スシAI-2000は、握り飯の適度な締め具合を例に挙げながら、「強すぎず緩すぎず、程よい圧力で社会を包み込む」という独自の政治理念を展開。さらに「私の体内には、約100万人分の好みデータが蓄積されています。これこそが、多様な民意を理解できる証です」と力説した。
この演説は瞬く間にSNSで拡散され、特に20-30代の若者層から「AIの方が人間の政治家より信用できる」という声が続出。支持率調査では、なんと既存の全政党を上回る32%という驚異的な数字を記録。ただし、この調査は「シャリの達人」のアプリユーザーを対象としたものであり、母数の偏りが指摘されている。
一方で、スシAI-2000には深刻な問題が存在する。現行法上、AIには選挙権も被選挙権も認められていないのだ。「シャリの達人」の広報担当者は「彼は毎日数千個のシャリを握る権利は持っていますが、残念ながら一票も握れません」と苦笑する。これに対し支持者たちは「#握り飯から握手へ」というハッシュタグを作成し、AIの参政権を求める署名運動を展開している。
さらに興味深いのは、スシAI-2000の政策提言だ。「全国の学校給食で完全手作りシャリの提供を義務付ける」「待機児童問題を解消するため、保育園にAIシャリロボットを設置する」など、やや寿司寄りの政策が目立つものの、「データに基づく」という点では一貫している。ある政治評論家は「寿司ロボットが政治家に転身するのは前代未聞だが、少なくとも食い逃げはしないだろう」と評している。
なお、スシAI-2000は現在も週末は通常通り寿司を握っており、「政策も握り飯も、基本は同じです。ネタを活かし、シャリを大切に」とコメント。ただし、最近では客から「総理大臣になったら、消費税を wasabi(わずか)にしてください」といった声も飛び交うなど、店内は微妙な雰囲気となっている。選挙権問題という大きな壁を前に、果たして寿司ロボットは政界に革命を起こせるのか。今後の展開から目が離せない。
コメント