
宇宙婚活協会(本部:オリオン座第三星系)は、昨日の定例記者会見で、「ネビュラロマンス」と呼ばれる宇宙空間でのデートプログラムにより、地球の未婚率が過去最低を記録したと発表した。同協会の星屑(ほしくず)愛子会長によると、プログラム開始からわずか3ヶ月で、なんと約28万組のカップルが宇宙空間での愛を育んでいるという。
「ネビュラロマンスは、重力ゼロ環境下での自然な出会いを演出します」と語る星屑会長。カップルは専用の宇宙船「キューピッドXⅡ」に乗り込み、アンドロメダ銀河やプレアデス星団などを巡る3時間のツアーに参加。船内では「宇宙の神秘」をテーマにした会話のお題が次々と出題され、カップルは銀河の壮大さを前に、自然と心を開いていくという。
この現象について、青雲大学宇宙愛学部の天川(あまかわ)教授は「重力から解放されることで、心の重力も消失する」と分析する。同大学が実施した調査では、宇宙デート経験者の98.7%が「地球では言えなかった告白ができた」と回答。「流れ星群の中でプロポーズされた」という報告も相次いでいる。
この影響を受け、地上の婚活市場は大混乱に陥っている。大手マッチングアプリ「スターズミート」は、宇宙船のチケット予約機能を追加。「宇宙で初デート」を希望するユーザーが殺到し、サーバーがダウンする事態も発生した。また、従来の地上デートを選択するユーザーからは「なんだか物足りない」という声も。銀座の高級レストランですら、「星空プロジェクションマッピング」を導入し、疑似宇宙空間の演出に躍起になっている。
一方で、懸念の声も上がっている。国際恋愛問題研究所の調査によると、宇宙デートの費用は1回あたり約380万円。「愛のためなら!」と貯金を使い果たすケースや、宇宙船酔いによる緊急帰還も報告されている。また、「重力がないと化粧が浮いてしまう」「宇宙食だと口臭が気になる」など、新たな婚活あるあるも続出しているという。
宇宙婚活協会は今後、火星の地下都市や木星の衛星でのデートコースも計画している。しかし、筆者が取材を進めるうちに気づいたのは、協会の所在地が「オリオン座第三星系」という時点で明らかに怪しい。だが不思議なことに、この荒唐無稽なニュースは、私たちの「理想の出会い」への夢を映し出しているのかもしれない。ちなみに筆者は先日、吉祥寺の天文カフェで知り合った方と星空観察デートを予定している。宇宙まで行かなくても、夜空を見上げるだけで十分ロマンチックだと信じたい。(取材・執筆 みつき)
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