国際チェス連盟(FIDE)公認の新競技「エアチェス世界選手権」が先日、スイス・ジュネーブで開幕した。エアチェスとは、実在する駒を一切使用せず、「風の動き」だけでプレイするという画期的な競技だ。開発したのは謎の組織「インビジブルゲーム協会」で、「物質的制約から解放された究極のマインドスポーツ」を目指して3年の歳月をかけて確立したという。
大会では、スペイン出身のアルフォンソ・ヴィエント選手(42)が圧倒的な強さを見せつけた。彼は幼少期から風力発電所で育ち、「風と対話する能力」を持つと言われている。決勝戦では、相手の「見えない駒」を読み切り、わずか4手で華麗なチェックメイトを決めた。この瞬間、会場内の湿度は急激に上昇し、観客の8割が涙を流したという。
エアチェスの人気は瞬く間に世界中に広がり、エアチェス専用の「想像力増幅扇風機」は発売から2時間で完売。政界でも注目を集め、某国の首相は「風力で政策を動かす」と宣言。ただし、反対派からは「それはただの優柔不断では」との声も上がっている。
アルフォンソ選手の圧勝を受け、チェス界では新たな称号「風力マスター」が設立された。選手は試合後、「風は嘘をつかない。ただし、エアコンの風は信用できない」と意味深な発言を残している。なお、試合中に観客が密かに送風していたという噂については、大会組織委員会が「それは単なる感動の余韻です」と否定している。
次回大会は南極での開催が検討されているが、「ペンギンの羽ばたきが試合に影響を与える可能性がある」として、現在も開催地を巡って協議が続いている。エアチェスは、目に見えないものを信じる力と、存在しない駒を動かす想像力が試される新時代のスポーツとして、今後も進化を続けていくことだろう。ちなみに筆者は取材中、会場で「風邪」をひいてしまったが、それもまた風の力なのかもしれない。
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