渋谷の高校(東京都渋谷区)で今年4月から導入された新校歌が、予想外の学校文化を生み出している。同校が創立70周年を記念して依頼したラッパーのKREVAによる新校歌は、わずか2ヶ月で全校生徒の間に「ラップカルチャー」を定着させ、朝礼が即興ラップバトルの場と化す異常事態を引き起こしている。
新校歌のサビには「渋谷(シブヤ)の丘で 夢を描く(エガク) 明日(アス)への一歩 刻む(キザム)ビート」というフレーズが含まれており、KREVAの代名詞でもある韻を踏んだ歌詞が特徴的だ。これが発端となり、生徒たちの間で「韻を踏む」ことが一種の流行となった。「昨日の数学のテストマジ死んだ(シンダ)けど、今日は英語で人生変わんだ(カワンダ)」といった具合だ。
特に注目すべきは朝礼での変化だ。従来の「はい、2年3組、欠席2名、遅刻1名です」という形式的な報告が、「Yo! 203! アブセント2名でレイト1名! みんなちょっと寝坊だけどそれはそれでファイン!」といったラップ調の報告に変化。さらに驚くべきことに、62歳の山下校長も「おはようございます」の挨拶を「グッモーニン エブリバディ! 今日も一日 レッツスタディ!」と韻を踏んで行うようになった。
この状況に対し、教職員や保護者の反応は複雑だ。「授業中も韻を踏もうとする生徒が増えて困る」という声がある一方で、「生徒たちの語彙力が明らかに向上した」という肯定的な意見も。特に国語科の田中教諭は「助詞の使い方や同音異義語への理解が深まった」と評価している。
さらに、この影響は地域社会にも波及している。先日行われたPTA総会では、会長が「予算案についてマジで話そう、収支バランス崩さないようマジメに進もう」と韻を踏みながら議事を進行。周辺の商店街でも、高校生に影響されて「本日のお買い得! 特売で気分アゲアゲ!」といった韻を踏んだPOPが増えているという。
渋谷高校ラップ文化研究会(今年5月に発足)の調べによると、新校歌導入後、生徒の遅刻率は前年比30%減。「韻を考えながら通学するため、自然と早起きするようになった」という意見が多数を占めた。当初は物議を醸した新校歌だが、思わぬ形で学校教育に新風を吹き込んでいる。KREVAは「まさかここまでの影響力があるとは」と困惑気味だが、「教育現場での言葉遊びの可能性を感じる」とコメントしている。
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